VS 近鉄ライナーズ

vs

結末

2021.02.28

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 Aグループ
14:00 Kick Off
秩父宮ラグビー場(東京)
T G PG DG DG PG G T
0 0 2 0 6 前半 26 0 0 3 4
1 0 0 0 5 後半 26 0 0 3 4
1 0 2 0 11 合計 52 0 0 6 8

登録選手・リザーブ選手

個人得点

ポジション 選手名 T G PG DG
SO アンドリュー・ディーガン 0 0 2 0
HO 栗原 良多 1 0 0 0

スターティングメンバー

ポジション 選手名
PR 小山 翔也
HO 北條 耕太
PR レズリー・メイキン
LO 中尾 光男
LO 中村 匡汰
FL 石井 洋介
FL 川瀬 大輝
No.8 フェインガ・ファカイ
SH 山菅 一史
SO アンドリュー・ディーガン
WTB 坂本 英人
CTB 水野 拓人
CTB トム・イングリッシュ
WTB ナベテレヴ・ツランガニヴァル
FB 菅沼 神兵

リザーブメンバー

ポジション 選手名
R 栗原 良多
R 金 亨志
R 梶原 瑛
R 中村 謙吾
R 平野 和飛人
R 大政 亮
R 林田 拓朗
R 井出 三四郎

交代・入れ替え

交替・入替時間 内容
後半11分 小山 翔也→金 亨志
後半11分 北條 耕太→栗原 良多
後半17分 川瀬 大輝→平野 和飛人
後半19分 レズリー・メイキン→梶原 瑛
後半19分 水野 拓人→林田 拓朗
後半27分 フェインガ・ファカイ→中村 謙吾
後半27分 山菅 一史→大政 亮
後半32分 坂本 英人→井出 三四郎

レポート

 ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021の第2戦目は、一昨年シーズンに大敗した近鉄ライナーズとの戦いをラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場で昨日行われた。第1節同様に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い「無観客試合」として取り扱われたわけだが、この時期にラグビーの試合が行えることに感謝したい。この日、前節の怪我によりメンバーから外れた前田篤志やキャプテンの杉森健太郎の代わりに、今シーズンのニューフェイスである北條耕太やナベテレヴ・ツランガニヴァルといった新戦力がスターティングラインアップに名を連ねた。新人と中堅、そしてクリタを支え続けるベテランが一枚岩となり、強敵・近鉄に対し真っ向勝負の80分をレフリーのホイッスルの元、熱い戦いがきって落とされた。
 前半は、近鉄のキックオフで試合がスタート。キックオフボールをクリタがマイボールを確保し、自陣から敵陣に向けてエリアを取りにかかる。近鉄にボールを渡してもゲインを許さず、キックでエリア回復をする攻撃に対し、アンドリュー・ディーガンのキックやフォワードを活かしたプレーで相手にチャンスを与えない。最初に得点の機会を得たのはクリタ。前半9分、敵陣左サイド22mライン付近で獲得した近鉄のペナルティから迷わずショットを選択。ディーガンのキックは綺麗な放物線を描き、ポール中央を通過し先制点をゲット。クリタペースでこのまま勢いよく攻め込んでいきたいところだが、前半11分に自陣10mライン付近でコラプシングのペナルティからクリタの左サイドを攻め込まれトライを奪われる。コンバージョンゴールも成功し3-7と逆転されてしまう。このままズルズルと得点の機会を与えないのが今日のクリタ。トライを奪われた直後の12分、近鉄のキックパスをディーガンがインターセプト。そのまま左サイドラインを駆け抜けるディーガンに対し、近鉄がインゴール手前で強烈なタックルを仕掛け、ボールを前にこぼしトライならず。また、ディーガンのパントキックをナベテレヴがキャッチし、攻撃を仕掛けるも近鉄のディフェンスに阻まれ得点シーンを演出できない。前半23分、敵陣やや左サイド10m奥で近鉄がペナルティを犯す。ここでも迷わずショットを選択したディーガンが、安定したキックでペナルティゴールを成功させ6-7と点差を縮めた。しかし近鉄も黙ってはいない。前半29分には自陣22mラインから一気にクリタ陣に攻め込み、相手フォワードがランニングスキルを活かして中央にトライ。その後40分と終了間際の46分にトライを奪われ、前半を6-26で終える。

 後半はディーガンのキックオフで試合スタート。開始早々、近鉄はキックオフボールをキャッチしてからアタックを継続させていく。左右にライン攻撃を仕掛け、最後は右サイドを駆け抜けノーホイッスルトライで点差が広がる。これ以上点差を広げられたくないクリタは、後半11分に選手入替を行う。前半から相手のパワーに圧倒され続けてきたフォワードの第1列に金亨志と栗原良多をピッチに投入。その直後にスクラムから出たボールを中央突破され、クリタディフェンスを弾き飛ばして近鉄がポール下にトライを上げる。コンバージョンゴールも成功し6-38と一方的な展開になりかけてきた。しかし、この局面を打破したのはベテランの域に達したゲームキャプテンの中尾光男だ。ディーガンのキックオフボールを保持したラックにジャッカルで相手がたまらずノットリリースザボールのペナルティを犯す。敵陣中央10mライン付近でディーガンが右サイドラインにボールを蹴り出し、22mライン付近でラインアウトを獲得。栗原の投じたボールを保持しモールを形成。モールの最後尾につけた栗原にボールをまわし押し込む。近鉄のディフェンスがバラけたタイミングで一気にインゴールまで押し込み栗原がトライ。ディーガンのコンバージョンは惜しくも外れたもののようやくチームで掴み取ったトライとなった。その直後、リザーブ選手をピッチに投入し、クリタのラグビーをリフレッシュさせる。常に献身的にディフェンスしてきた水野拓人に代わり林田拓朗、ディフェンスで何度もクリタのピンチを救った川瀬大輝から平野和飛人。スクラムの第一列で身体を張り続けたレズリー・メイキンから努力の人・梶原瑛が躍動しにかかる。この時間は常にクリタ陣での攻防になるが、スクラムの精度が上がり安定し始めるものの近鉄のパワーでクリタのディフェンスに襲いかかる。後半26分にフェインガ・ファカイから中村謙吾、山菅一史から大政亮に代わった直後にちょっとしたクリタの隙を近鉄は逃さずトライを奪い、11-45と一方的な展開に。その4分後にクリタのペナルティから近鉄はサイドラインにボールを出しラインアウトを仕掛けてくる。ラインアウトからモールを形成し、一気に押し込みトライを許してしまう。後半32分に井出三四郎がピッチに入り最後の攻撃にかけていく。山菅と違ったテンポでリズム良くボール出しをする大政は、ディーガンからトム・イングリッシュにボールを供給するものの、そこからの「次の一手」が続かない。だが、もう1トライを奪う姿勢がクリタの面々に漲り続けたが後半ロスタイム3分が経過した後、クリタのスローフォワードの反則で万事休す。11-52でAグループ2連敗となった。釜石戦の敗戦からチームで共通意識を持ち、この2週間の練習で続けてきたディフェンスが功を奏したものの、近鉄のラグビーがクリタを大きく上回った結果となった。これでトップリーグチームとの戦いに進出する4位以内が限りなく難しくなったが可能性は残されている。この試合の前に行われた釜石vs清水建設は、1点差で清水建設が勝利し、1勝1敗が2チームとなった。次節最終戦の清水建設との戦いでクリタが勝利すると、3チーム間の勝ち点で順位が大きく変わってくる。痺れる状況に変わりはないがF Wリーダーの前田篤志は冷静に話す。「先を考えるとキリがない。とにかく目先の試合に集中することです」と語り、最後に「ただ純粋に清水に負けたくないです」と。
栗田工業ウォーターガッシュは、簡単には終わらない。皆様と一緒に最後まで戦い抜きたい。



試合後コメント
月田伸一ヘッドコーチ

近鉄さんのプレッシャーは覚悟していましたが、思った以上に強かったですね。しかし、選手たちは自分たちがやるべきこと、こだわることを80分間通してプレーしてくれたと思っています。アタックに関してはまだまだ課題が多いですが、ディフェンスに関しては通用する部分が多くありました。ただこの得点差は、近鉄さんの個人技で得点されたものです。(次の試合に向けて)限りなく厳しい状況ですが、我々は次の試合で勝ち点5を奪いにいくことだけです。そこにフォーカスして、チームとしてマインドセットして得点シーンを多く演出できるように2週間準備したいと思います。

中尾光男ゲームキャプテン

前半はすごく良かったと思いますし練習した形が試合で出せたと思っています。しかし後半に入って、攻撃のフェイズを重ねられたときに、僕らの足が止まってしまいトライを許してしまいましたが、要所要所でいい場面もあったと思います。釜石戦の敗戦から練習の中で、水野(拓人)を中心に、フォーカスすべきところをメンバー内で共有していましたので、その結果が表現できたんじゃないかと感じています。個人的にはもっともっと運動量を上げられたと思います。(次の試合に向けて)現時点での結果を見ると、上位グループに進出することが限りなく難しいと思います。しかし私たちがやることは変わりません。しっかり準備してうちのラグビーを確立させ、最後までこだわってプレーして行きたいと思います。

大政亮選手

(試合を振り返って)僕自身、久しぶりの試合でした。相手に合わせるのではく、練習通りに進めることと自分の強みのアタックを生かしたプレーを心がけました。また前半から試合を作ってきた山菅(一史)と僕は同じスクラムハーフでもタイプが全く違います。後半の途中から入ったので、僕なりのリズムでテンポを意識しました。誰から見ても近鉄さんは強くて手強い相手でしたが、もう少しチームとしてやれることはあったと思います。次に向けてもう一度しっかりと練習の段階から準備して良い結果を出すために頑張りたいと思います。

水野拓人選手

(試合を振り返って)強かったですね、近鉄さん。準備してきたことはチームとして表現できていましたが、接点の部分で相手に圧倒されたので、次回に向けての課題にしたいです。(ディフェンスが良かったのでは?)そう見てくださったのならそうだと思いたいです。特に意識した部分ではなかったのですが、周りとのコミュニケーションを強く図ったので、そのコミュニケーションでディフェンスの精度が高まったのかもしれません。(清水建設戦に向けて)僕らのスタンダードを上げることが次の試合に重要だと思っています。練習からそのこだわっていくスタンダードをあげられるようにして行きたいと思います。

金亨志選手

やろうとしていたこと、一人ひとりのフォーカスポイントはできていたと思いますが、相手の個人プレーで圧倒された試合でした。今回はリザーブだったので、後半に投入されたらどうするなど、栗原(良多)くんと話し合っていましたので、互角にスクラムが組めと思います。また個人的にも出場してからアグレッシブに動いていこうと意識していましたので、常にボールに絡むプレーができたかなと感じています。(次の試合に向けて)もう負けられません。勝ちにこだわって行きたいと思います。

栗原良多選手

セットプレーで近鉄さんに終始圧倒された試合になりました。しかし後半11分から出場しましたが、前半押されていたスクラムもフロントローでコミュニケーションを常に取り続け、修正をかけ続けていきました。ラインアウトもプレー精度は良かったのではないかと思います。(トライについて)非常に嬉しいですが、あそこまでボールを運んでくれたメンバーやモールもF W全員で押し込んだので、私一人のトライではなく全員でもぎ取ったトライでした。昨年近鉄さんから奪えなかったトライが奪えたことは素直に喜びたいと思います。(次節に向けて)僕らには絶対に落とせない試合です。次までの2週間、しっかりと調整して勝ち点5を取りにいきたいと思います。

アンドリュー・ディーガン選手

(試合を振り返って)非常に難しいゲームでした。近鉄さんはしっかりと準備してきたと思います。しかしクリタもフィジカルの部分で身体を張り続けてくれたことは良かったと思っています。(清水建設戦に向けて)今日の試合でメンバーは自信をつけたはずです。特にフィジカルの部分は、清水さんを上回れると今日の試合でわかりました。この近鉄さんとの試合がベンチマークとなり、釜石戦に比べるとよくなってきていることがチーム全員わかったと思いますので、この自信を次の清水戦にぶつけて戦い抜いて行きたいと思います。



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