VS九州電力キューデンヴォルテクス

vs

結末

2021.03.21

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 順位決定戦
11:30 Kick Off
AGFフィールド(東京)
T G PG DG DG PG G T
0 0 0 0 0 前半 6 0 2 0 0
1 1 1 0 10 後半 3 0 1 0 0
1 1 1 0 10 合計 9 0 3 0 0

登録選手・リザーブ選手

個人得点

ポジション 選手名 T G PG DG
SO アンドリュー・ディーガン 0 1 1 0
No.8 ワイクリフ・パールー 1 0 0 0

スターティングメンバー

ポジション 選手名
PR 金 亨志
HO 栗原 良多
PR レズリー・メイキン
LO 中尾 光男(C)
LO ギディオン・コイージェレンバーグ
FL 中村 匡汰
FL 川瀬 大輝
No.8 フェインガ・ファカイ
SH 山菅 一史
SO アンドリュー・ディーガン
WTB 河野 友希
CTB 中島 拓也
CTB トム・イングリッシュ
WTB 坂本 英人
FB 菅沼 神兵

リザーブメンバー

ポジション 選手名
R 前田 篤志
R 小山 翔也
R 出渕 賢史
R 平井 伸幸
R ワイクリフ・パールー
R 大政 亮
R 林田 拓朗
R 井出 三四郎

交代・入れ替え

交替・入替時間 内容
後半13分 中尾 光男→平井 伸幸
後半19分 金 亨志→小山 翔也
後半19分 フェインガ・ファカイ→ワイクリフ・パールー
後半22分 中島 拓也→林田 拓朗
後半23分 栗原 良多→前田 篤志
後半28分 山菅 一史→大政 亮
後半41分 レズリー・メイキン→出渕 賢史

レポート

 ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021も残すところあと2試合。Aグループ4位で、5-8位順位決定戦に回ったウォーターガッシュ。とにかく2連勝を目指し、5位を死守するためにはどうしても負けられない試合。順位決定戦の第1節は、Bグループ3位の九州電力キューデンヴォルテクスとの一戦。昨日からの天気予報も的中し、最悪なコンディションを覚悟した天候も、想像を超える雨風の強さで選手の体力を奪っていく。またこの試合、2019年12月の豊田自動織機シャトルズ戦以来のメンバー入りとなった平井伸幸がチームを鼓舞する。後半のロスタイムに歓喜が訪れることを誰もが想像すらしなかったこの九州電力との一戦は11時半、レフリーのホイッスルによって熱く激しく両チームの選手が自チームのために身体を張り続けた。
 前半はアンドリュー・ディーガンのキックオフで試合が始まる。風下となったクリタは開始早々相手のノックオンでマイボールスクラム。セットプレーで優位に立ちたいクリタは、前節までの課題でもあったスクラムをこの試合に向けて修正を図ってきた。安定したスクラムでバックスに質の良いボールを供給できたものの強風の影響でエリアをなかなか確保できず、また、時折強い雨脚となりボールが手につかず、継続したアタックができない。開始から自陣でのプレーを余儀なくされたクリタは、組織的なディフェンスで何度もインゴール前のピンチを防ぎ切る。しかし前半12分に試合が動く。自陣やや右サイド22mライン手前、クリタのオフサイドから九州電力はショットを選択。難なく決め0-3と九州電力が先制。その後のディーガンのキックオフボールで反撃をしたいクリタだが、キックしたボールが大きく戻されてしまう始末。また九州電力のキックが風に乗り一気にエリアを戻され心が折れかかる状況が続く。またラインアウトから放つボールも流れる状況で、何度もスクラムを組むシチュエーションが続く。混沌とした時間だけが経過していく中、前半終了間近に試合が再び動く。44分、クリタが自陣22mライン付近でのラックで、ボールを手で書き出したためにハンドのペナルティ。九州電力は迷わずショットを選択しペナルティゴール成功。0-6となった時点で前半が終了。

 後半は九州電力のキックオフで試合がスタート。低い弾道のキックオフボールをディーガンが大きく蹴り返し一気に敵陣22mライン付近までエリアを奪う。開始早々の後半3分、クリタにチャンスが訪れる。ラックで攻撃のフェーズを重ね、一気にインゴール前まで攻め込むがボールキャリーがクローリングのペナルティで得点を奪うことができない。こんな状況が続き、大きく試合が動かない状況を打破するため、リザーブの選手をピッチに投入。試合中に脚を痛めた中尾光男に変わり後半13分に平井伸幸を投入。その直後にインゴール手前まで攻め込むも相手のジャッカルにたまらずペナルティを犯しトライならず。金亨志から小山翔也、フェインガ・ファカイからワイクリフ・パールーがピッチに入り、チームをリフレッシュさせ始めた後半20分、敵陣ほぼ中央の22mライン付近で九州電力がペナルティを犯し、ディーガンがショットを選択。難なく決め3-6と点差を縮める。このリズムで得点を重ねたいところだが、思うようにアッタクを継続することができない。自陣のディフェンスを余儀なくされていた後半27分、相手ボールのラインアウトから攻め込まれ、たまらずモールオフサイドを犯してしまう。しかし、日頃鍛えたディフェンス力で何度もインゴール手前のピンチを防ぎ最小失点で凌ぎ切るが、後半37分に自陣22mライン付近でのオフサイドで、九州電力にショットを決められ3-9と逆に得点差を離されてしまう。後がないクリタは攻撃のフェーズを重ね、相手のペナルティを誘う。ロスタイム4分を告げるアナウンスが流れ、敵陣左サイド22mライン付近で得た相手ペナルティをサイドラインにボールを蹴り出しマイボールラインアウトからモールで攻め込む。一度は九州電力に防ぎ切られたモールだったが、相手にボールを奪われてもボールを奪い返す。そして三度訪れたラインアウトで中村匡汰がマイボールを保持しモールを形成。スロー後、最後尾に加わった前田篤志をフォローしたワイクリフが左サイドのインゴールに飛び込みトライ。風の影響を受けるために、ディーガンのコンバージョンキックをトム・イングリッシュがサポート。難しい角度、そして強い風が吹く中、見事にゴール成功。10-9となった時点でレフリーのホイッスルがなりノーサイド。劇的な勝利を飾り、再来週に広島で行われる順位決定戦は5・6位決定戦にコマを進めた。試合観戦をした多くのクリタ関係者が歓喜する傍ら、選手たちは冷静に試合を振り返っていた。このコンディションでフォワード主体のアタックで消化不良に感じたバックス陣はなにを思い感じただろうか。また、この試合メンバーに選ばれたものの出場機会が回ってこなかった井出三四郎、そして出場する権利さえ得られなかったノンメンバーは次の試合に向けて己にどんな誓いを立てただろうか。トップチャレンジリーグのラストイヤーで次の試合が今シーズン最後の試合。それぞれの思いを一つに集結させ4月3日、Aグループ初戦で敗戦した釜石シーウェイブスとのリベンジマッチ。どんなに頑張っても5位以上に上がることのできない一戦に向けて、40人の選手とスタッフ、関係者やクリタファンを含めたALLクリタで価値ある1勝をもぎ取りたい。



試合後コメント
月田伸一ヘッドコーチ

この天気の中で両チームとも難しい試合だったと思います。こんな状況でも最後のモールからのトライ、ディーガンのキック成功も含めて、選手の頑張りを評価したいと思います。(最悪のコンディションでした)確かにそうですが、条件も(お互い)イーブンですし、これがラグビーだと思いますね。前半は風下でしたのでボールを保持し、優位に試合を進めることを意識させました。ペナルティからのキックで失点をしましたが、トライを奪われることなく後半に進めました。しかし、なかなか得点チャンスを演出できませんでしたが、最後のラインアウトの選択は良かったと思いますし結果に結びつくことができて、私含めエキサイティングできました。(次の試合に向けて)最後の試合も勝利で飾りたいですし、その勝利を掴むためにしっかり準備もしていきたいと思います。

中尾光男ゲームキャプテン

(試合を振り返って)結果が全てで勝利できて良かったです。前半は風下で自分たちの求めるラグビーはできませんでしたが、とにかく我慢し続け得点できるチャンスを待ち続けました。最後(モールトライ)は我慢し続けた結果だと思います。ハーフタイム時にはセットプレーやフィールドプレーの修正を含め、点差関係なくとにかく我慢し続ければ得点チャンスは来るとみんなで共有しました。(次の試合に向けて)次の試合も今までと変わらず準備をしっかりすることだと思いますし、最後も勝利したいと思います。

中島拓也選手

(試合を振り返って)そうですね、この天候で消化不良の試合になったと思います。(その消化不良とは?)こんな天候でしたから、バックスからの攻撃シーンは少なく、フォワード主体の攻撃になりました。今まで準備してきたことを発揮するシチュエーションが少なかったことが要因だと思います。ただ、しっかり勝ち切れましたし、次に繋がる勝利だったと思います。(前節は久しぶりの試合でした)そうですね、1年以上試合に出ていませんでしたが、怪我を気にすることもなく、コーチ陣が求めるものも体現できていると思っています。次の試合も今までと変わらず準備をして、僕自身の強みであるボールキャリーやディフェンの部分を生かせるようにしたいと思います。

平井伸幸選手

雨でしたのでボールが動かない試合展開になると思っていましたが、その通りの試合内容になったと思います。キックの差での勝敗になると思っていました。最後の得点シーンは、フォワードの強みでもあるモールでのトライを奪うことができ、そしてディーガンのキックで最後逆転できました。私自身、久しぶりの試合(昨シーズンの織機戦以来)でしたが、日々準備し続けていましたので、問題なくプレーすることができました。ただ、楽しんラグビーを体感したかったのですが、この雨でしたので。。。でも試合に出られたことが良かったのかなと思います。個人的には果敢にタックルを相手に仕掛けていけましたので、次の試合に繋がる内容だったと思います。(次の試合に向けて)今シーズン、最後の試合です、勝利して締めくくりたいと思います。

菅沼神兵選手

九電さんは、前半風上でしたので、キックでエリアを確保し、僕たちのペナルティを誘って得点を重ねたかったと思いますが、しっかりディフェンスして多くの得点を許さなかったのはプラン通りだったと思います。ただ、後半は僕らがキックでエリアを確保できたのに、できなかったために、この様なヒヤヒヤとした試合になったと感じます。またペナルティも得点に繋がる致命傷なものがなかっただけで、チームで犯したペナルティはしっかり反省しなければならないです。しかし、この試合に向けての準備してきたこと徹底して、試合中も激しくディフェンスすること、エリアを確保することなど、みんなで共有できたことは良かったのではないかと思います。(次戦に向けて)勝利できるようにしっかり準備したいと思います。

中村匡汰選手

(試合を振り返って)取り切らなければならない場面で取り切らないとこのような試合になってしまいます。雨風確かに強かったのですが、セットプレーの精度が良くなかったのが反省です。優位に立った試合だったと思いますが、常に追い込まれた状態でした。(ロック、フランカーでの出場でした)個人的に、どのポジションでも力を発揮できるように準備はしていますので、試合中のポジション変更も問題なかったです。フランカーは自由度の高いポジションなので、しっかりボールに絡んでチームに貢献できていたと思いますし、光男さん(中尾)が交代でピッチから離れてロックになってもうまく切り替えることができました。(次の試合に向けて)おそらく次の試合は釜石さんになると思います。前回ホームで負けた相手ですので、しっかり準備して勝利したいです。

ギディオン・コイージェレンバーグ選手

メンバー全員がこの状況下で、チームのために身体を張り続け、その結果が悪天候の中でも素晴らしい勝利に結びついたと思います。(前節からフルタイム出場を2試合続けています)幸運なことに、無事に退院でき試合に出場するためのコンディションも整えることができています。またフィットネスも徐々に上がってきていますし、この試合に勝利するために個人でもチームも準備できていました。(常にボールに絡んでいましたね)はい、今日の試合コンディションからバックスが駆け回る天候ではなかったので、しっかりフォワードとして役目を果たしたまでです。(次の試合に向けて)次の試合も非常に楽しみですし、3試合連続して勝利を飾りたいです。



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