2020.09.29

対談・インタビュー

【インタビュー】月田伸一ヘッドコーチ

昨年末以降に発生した新型コロナウイルス感染症。2月後半より日本国内でも自粛が余儀なくされ、4月には日本国内で緊急事態宣言が発布され、軒並みスポーツイベントが中止になりました。その中で、今シーズンよりウォーターガッシュのヘッドコーチに就任した月田伸一ヘッドコーチ(以下、月田HC)。自粛期間を経て、チームに合流して来年のリーグ戦に向けてチーム作りを急ピッチで進めています。自粛期間から今現在までの思いや取り組みの考え方、そして次のリーグ戦に向けてどのような考えのもと、チーム強化を図っていくかをインタビューしました。

(取材日:9月12日)

可能性を秘めているチームだと感じた

――就任当初のウォーターガッシュのイメージを聞かせてください

3年間、九州電力のコーチをしていましたが、可能性を秘めているチームと感じていました。実際就任してみると、九州電力以上に仕事との両立を求められている中で、選手たちが自主的に取り組んでいる部分が多く、素晴らしいと思いました。また、グラウンドでの瞬時の判断、対応力、そして仕事とラグビーの両立というチームポリシーとプライドは、今後自分たちの強みになってくると思います。これからもチームの文化でもある選手の自主性を尊重しながら、チームとしての基準をしっかり整備したいと思います。

――選手、スタッフ間のコミュニケーションは取れていましたか?

限られた時間内でのコミュニケーションは図れていましたが、時間が無かったですね。もっとコミュニケーションを図り、スタッフ全員でミーティングを重ねて共有ごとを増やしていきたいと思いました。自粛期間中もリモートではありましたが、週1回は必ずミーティングを開いてチーム内の課題を全員で共有して、各々の役割を明確にしてきました。今現在、スタッフ、選手含め良いコミュニケーションが取れていると思います。

――自粛期間が良い意味で考える時間が増えたのではないですか

確かに、いきなりスタートにならなかったので、色々情報を収集する時間を確保できましたが、イメージするチーム作りは大幅に遅れをとったなと感じています。

――6月からスタートしたチーム活動も4カ月目に突入しました

計画通りに進んでいるかと問われたら、そうではない部分もあります。しかし、今やるべきことはできているんじゃないかと思っています。また、チーム作りの部分になりますが、私がチームに影響を与えるように、選手にも自身がチームに与える影響を考えさせていきたいですね。特にリーダーに選ばれた選手には強く意識してほしいです。

――選手は口を揃えて今年は走っている!と言っています。今のトレーニング内容をお聞かせください

普通じゃないですか?ただ今走っている内容は、来月以降変えていきたいと思っています。選手は今の方がよかったと言うかもしれません。

――今年掲げているテーマ(スローガン)などありますか?

はい、今シーズンはスピード(S)・アグレッシブ(A)・スマート(S)の頭文字をとって「SAS」をスローガンとして掲げていきたいと思います。常にこのスローガンにチーム全員が立ち返られるように意識させたいですね。テンポよくスピードをあげ、そこに激しさがあるのか、そしてそのプレーが正しいのかを考えるようにしたいです。

――新人選手について聞かせてください

今シーズン7名の新人選手が入ってきました。どの選手も非常に楽しみで、グラウンド内外で新人らしからぬ(笑)動きをしてくれています。また、彼らが3~5年経ったときに、クリタの中心選手に成長していく潜在能力を持っています。今シーズンは全員何らかゲームに絡んでくると期待していますね。

――注目している選手はいますか?

そうですね、フォワード(以下、FW)は川瀬(大輝)ですね。先ほどお話しした、スピード、アグレッシブ、スマートを体現できる選手の一人だと思っています。昨年は怪我で苦しんだシーズンだったと聞いていますし、彼が常に試合に出場できる状態でいてほしいと思います。バックス(以下、BK)に関して言えば、スクラムハーフの4人ですね(本村旨崇・大政亮・長谷川新波・山菅一史)。誰がスタートで出場するかをこの4人で競ってほしいと思います。現状ですと全員横一線です。だからこの4人が切磋琢磨してスクラムハーフのレベルをあげていってほしいと思いますし、全員にチャンスがあると思います。

――キャプテン、バイスキャプテンはいつ頃決められますか?

11月に行われる合宿の最終日に決定し、発表したいと思います。それまでは、リーダーを選出していますので、そのリーダーでチームを引っ張ってもらいたいです。ちなみにFWは、前田(篤志)と中尾(光男)、ワイク(ワイクリフ・パールー)と平井(伸幸)です。BKは、菅沼(神兵)と水野(拓人)、そして杉森(健太郎)の計7名です。

――月田HCの考えるリーダー像を教えてください

難しいですね、色々あると思いますし、これだというものはないと思います。しかし、唯一言えることは、一番キツイときに一番キツイことを黙って行える選手だと思っています。みんなが嫌がること、逃げだしたいことを率先してやりきれる選手だと思っています。私もチームをまとめる立場として、律する部分があります。周りに良い影響を与えるのは言うまでもなく、常にみられている意識を持っていますので、その部分も選出されるリーダーに求めていきたいです。

――これからの過ごし方を教えてください

冬のシーズンに向けて、次のように考えています。まずは、チームの結束を強めること、戦う集団に変えていくこと、チームの戦略・戦術を確立すること、そして何より自信をつけることを意識したトレーニングをしていきたいです。

そのプロセスに誇れるチームで有り続けたい

――自信がつけばおのずと結果に表れますね

はい、そう信じています。しかし我々は常に結果を求められ続けると思います。短期間での成果は非常に難しいと思いますが、果敢にチャレンジしていきたいです。でも、その結果を得るためには、目標までにたどり着くプロセスも大事にしていきたいです。そのプロセスに誇れるチームに達成感と充実感が生まれ、結果がついてくるのだと信じています。

――リーグ戦が年明けに実施されるかと思います。どんな戦いを理想としていますか?

どんな相手に対しても自分たちのスタイルを貫けるかだと思います。もちろんチームとしてのターゲットを明確にしていますが、詳しいことは控えさせてください。今はっきり言えることは、しっかりリーグ4位に入って、次のステージに進んで多くの経験を積んでいきたいです。

――ファンの皆様に伝えたいメッセージはありますか?

この状況がこの先、どう変わっていくか想像もつきません。試合が無観客になるのかも現状決まっていないかと思います。しかし、会場に足が運べる状況になったら、是非チームを直接応援してほしいですね。我々は、ファンの皆様が応援したくなる、ファンであることを誇りに思えるチームになっていきたいと思っています。

――昭島に根付くということですね

はい、このチームの現状は、クリタグループの社員の皆様に支えられているチームです。しかし、せっかく昭島で活動しているのですから、市民の皆様に愛されるチーム作りは欠かせません。状況が許せば、もっと選手たちには地域に足を運んで貢献していければと思っています。学校とか、ラグビースクールとか顔を出せるところはたくさんあるはずです。クリタグループの社員、ラグビー選手である前に「人」として成長してほしいですね。

――ありがとうございました

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