League: ジャパンラグビー トップチャレンジリーグ2021

VS 清水建設ブルーシャークス

2021.03.14

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 Aグループ
13:00 Kick Off
秩父宮ラグビー場(東京)
T G PG DG DG PG G T
2 1 0 0 12 前半 30 0 2 2 4
3 3 1 0 24 後半 3 0 1 0 0
5 4 1 0 36 合計 33 0 3 2 4

登録選手・リザーブ選手

個人得点

ポジション 選手名 T G PG DG
FL 川瀬 大輝 1 0 0 0
WTB 坂本 英人 1 0 0 0
HO 栗原 良多 2 0 0 0
SH 大政 亮 1 0 0 0
SO アンドリュー・ディーガン 0 4 1 0

スターティングメンバー

ポジション 選手名
PR 金 亨志
HO 北條 耕太
PR レズリー・メイキン
LO 中尾 光男 (Cap)
LO ギディオン・コイージェレンバーグ
FL 石井 洋介
FL 川瀬 大輝
No.8 フェインガ・ファカイ
SH 山菅 一史
SO アンドリュー・ディーガン
WTB 河野 友希
CTB 中島 拓也
CTB トム・イングリッシュ
WTB 坂本 英人
FB 菅沼 神兵

リザーブメンバー

ポジション 選手名
R 栗原 良多
R 小山 翔也
R 出渕 賢史
R 中村 匡汰
R ワイクリフ・パールー
R 大政 亮
R 林田 拓朗
R 井出 三四郎

交代・入れ替え

交替・入替時間 内容
後半09分 金 亨志→小山 翔也
後半09分 北條 耕太→栗原 良多
後半13分 中島 拓也→林田 拓朗
後半16分 フェインガ・ファカイ→ワイクリフ・パールー
後半20分 山菅 一史→大政 亮
後半24分 坂本 英人→井出 三四郎
後半33分 レズリー・メイキン→出渕 賢史
後半35分 中尾 光男→中村 匡汰

レポート

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 Aリーグ第5節は、前節で釜石シーウェイブスを破った清水建設ブルーシャークスとの戦い。ウォーターガッシュは、ここまで2試合を終え勝ち点なしの2連敗。大会フォーマットの変更により、大きく内容が変わった今回のトップチャレンジリーグも今年がラストイヤー。2022年からスタートする新リーグに向けて是が非でも今シーズン初勝利を飾りたいところ。残念ながらこの試合に勝利したとしてもAグループで上位2チームに入ることは叶わず、トップリーグチームとの戦いができる「プレーオフトーナメント」の進出が絶たれたが、チームの意地を見せたいところ。この試合、1月下旬の練習試合で大怪我を負ったギディオン・コイージェレンバーグ、1年3ヶ月振りに試合出場を果たす中島拓也のラグビーがチームを救うのか。前日の嵐のような天候と打って変わって暖かいどころか、暑さを感じる秩父宮ラグビー場。風の強さがどう影響を及ぼすのか、今シーズン初めての有観客試合として行われたグループ最終戦、ラグビーの聖地でドラマチックな戦いにするため、クリタの戦士がブルーシャークスの猛者に牙を剥く。
13時、レフリーのホイッスルで試合が始まる。前半のキックオフはクリタのアンドリュー・ディーガン。風下に立ったクリタは、キックを多用せず攻めたいところ。開始早々マイボールラインアウトを獲得したクリタだが失敗を重ね、相手に得点チャンスを与えてしまう。そして前半5分、自陣やや右サイド10mライン付近でのファーストスクラムから清水に攻め込まれトライを許してしまう。コンバージョンゴールは外れたものの0-5と先制されてしまう。しかしクリタも黙ってはいない。強靭なディフェンスに大きくゲインを許さず、中尾光男のジャッカルで相手のペナルティを誘いチャンスを掴む。前半11分、敵陣右サイドゴール前5m付近でのラインアウトからモールを形成。フェインガ・ファカイがモールから飛び出しラックを形成。ラックサイドをつきながら起点をずらし、最後は川瀬大輝がインゴールに飛び込みトライ。ディーガンのコンバージョンは失敗したものの、同点に追いつく。しかし、このまま勢いを継続させたいクリタだが、主導権を握れず失点を許してしまう。16分、ゴール前の連続攻撃を受け右隅にトライ、26分には22mライン付近からペナルティゴール成功、そしてクリタが敵陣ゴール前まで攻め込むもトム・イングリッシュからのラストパスをインターセプトされトライを献上し5-20。これ以上離されたくないクリタは、31分にラックから右サイドに展開し、坂本英人がインゴール中央に回り込んでトライ。ディーガンのコンバージョンも成功し12-20と反撃にかかる。しかし、清水建設も36分にトライ、前半終了間際のペナルティゴールも成功させ12-30となったところで前半終了。

後半は清水建設のキックオフで試合が始まる。これ以上離されたくないクリタは後半10分前後からリザーブ選手をピッチに繰り出す。金亨志から小山翔也、北條耕太から栗原良多が、クリタに流れを引き寄せるアタックを仕掛けたいところだが、後半13分にペナルティゴールを与え12-33と更に得点差を広げられてしまう。スタンドにいるクリタファンの心が折れかけ始める頃の後半20分過ぎ、意地を見せ始める。前半から献身的に動き回った山菅一史から大政亮に交代し、一気に流れがクリタに傾いた。後半23分、相手ペナルティを右サイドラインに蹴り出しラインアウトを獲得。ラインアウトからモールを形成し、最後尾の栗原を含めたフォワード陣が相手を押し切りトライ。ディーガンのコンバージョンも難しい角度から成功させ19-33。更に5分後、敵陣やや左サイドゴール前5mライン付近でのスクラムで大政が相手ディフェンスのギャップをつき中央に回り込みトライ。コンバージョンも決まりついに7点差まで詰め寄る。ここまでくると完全にクリタペースで試合が展開されていく。ワイクリフ・パールー、川瀬他フォワードのディフェンス、相手にゲインさせない組織的なディフェンスで清水建設の選手の足が完全に止まってきた。後半36分、敵陣中央10mライン付近でスクラムのペナルティでディーガンがタッチラインに蹴り出す。ラインアウトからのモールでまたしても栗原を含めたフォワード陣がモールアタックでトライ。難しい角度からのコンバージョンゴールをディーガンが決め同点。そして後半40分、清水建設のアタックを川瀬が阻止し、そのままジャッカルを仕掛ける。たまらずペナルティを犯し敵陣5m付近からのディーガンのペナルティーゴールが放った楕円形が、綺麗な放物線を描き、風の力も借りてポールの真ん中を通りついに逆転。会場アナウンスがロスタイム3分を告げると、クリタのディフェンスが更に清水建設にプレッシャーをかける。あらゆる攻撃を仕掛けてくるも冷静なディフェンスで我慢を続け、清水建設のノックオンでノーサイド。36-33の劇的な勝利を掴んだ。これでAグループ1勝2敗の勝ち点4の4位でグループリーグを終了。来週からのチャレンジリーグ順位決定戦で最高位の「5位」を狙いにいく形となった。釜石の敗戦から1ヶ月が経過するが、試合を重ねるごとにチームが成長している。このコロナ禍の状況、1週間おきの試合に戸惑うところもあったが、チーム全員で修正を図り、様々な関係者そしてファンの皆様とともに公式戦初勝利をもぎ取ったものだと感じる。今シーズン残り2試合となったトップチャレンジリーグ、これ以上でなくこれ以下でもない終わりの見える戦いに、最後までクリタラグビーにこだわって戦い抜きたい。



試合後コメント
月田伸一ヘッドコーチ

勝利できたことが正直嬉しいです。私もチームも大きな一歩を踏み出せたのではないかなと思います。前半はペナルティの数がいつも以上に多く、レフリーとのコミュニケーションに時間がかかったために大きく点差がついてしまいました。しかし、後半に入りクリタが相手にプレッシャーを与え続けられましたので、逆転することができたと感じています。(選手交代について)今日のゲームに関しては、リザーブに名を連ねていた選手がピッチに入ったときに、それぞれの役割でインパクトを与えてくれました。前半の得点差を考えれば勝利できたこと、満足に値する結果です。7点差以上つけ相手に勝ち点を与えずに勝利したかったですが、選手たちが諦めずに勝ち切ってくれたことがチームにとっても大きな収穫だと思います。(次の試合に向けて)古巣の九州電力との戦いです。非常に良いチームですので、勝利できるように準備していきたいと思います。

中尾光男ゲームキャプテン

勝利できて良かったの一言に尽きます。前半は点差を離されましたが、要所要所で良い場面もありました。小さいミスが致命傷となり失点しましたので、自分たちの形をプレーに出せれば逆転できると思っていましたので、ハーフタイム時にはみんなで共有ごとを深めました。釜石戦の敗戦からチームでハードなトレーニングを重ねてきました。何をフォーカスするかをチームで考え、ポイントを絞って繰り返しトレーニングして来た結果が出せたんじゃないかと思います。(次の試合に向けて)うちのチームはもっともっと良くなれると思っています。順位もありますが自分たちが目指すラグビーを貫くこと、そして目指すラグビーをしっかりと形にすることを意識して過ごしていきたいと思います。

ワイクリフ・パールー選手

前半の得点差でも選手たちは自分たちを信じ、プレーすることができたと思います。この得点差になると諦めてしまう気持ちが強くなりがちですが、クリタのメンバーは最後まで諦めずに戦い抜くことができたと思っています。とにかく自分自身我慢することを意識しましたし、そうすることで相手にプレッシャーを与え走らせ、足を止まらせることが重要と感じていました。来週に向けて、今日の良い雰囲気をそのままに試合を迎えたいと思います。

トム・イングリッシュ選手

(試合を終えて)クリタは素晴らしいファイトをしたと思います。ゲーム内容はスロースタートでしたが、自分自身を信じ、システムを信じて貫くことができました。この1勝はクリタにとって重要な勝利になったと思いますし、このチームは今もまだ成長を続けています。この状態を次の試合に向けて継続していきたいと思います。また石井(洋介)や匡汰(中村)は、非常にチームに貢献していますし、ステップアップし続けています。自分たちのフィジカルのところを上げていってほしいです。

大政亮選手

僕が出場したとき(後半20分)に、3トライ3ゴールのビハインドでした。その得点差を意識してピッチに入りましたし、同点に追いつくためのゲームコントロールを考えました。後半になるにつれ、清水の選手の足が止まりだしたので途中出場メンバーもチームに勢いを与えられたんじゃないかと思います。(自身のトライについて)そうですね、3対2の状況でしたので、僕自身が持ち運びました。このシチュエーションでのプレーは、日頃の練習から繰り返してきていたので、練習通りの結果を出せました。ただし僕自身のプレー精度が良いわけではなかったので、しっかりトレーニングをして残り2試合、勝利してシーズンを終えたいと思います。

井出三四郎選手

数少ない時間でのプレーでしたが、自分の仕事は果たせたのかなと思います。ただし細かいプレーの部分に対してはミスを犯すなど修正しなければならないと思いますので、課題として今後取り組んでいきたいと思います。(次の試合に向けて)まずはメンバーに選んでいただけるように限られた練習時間でアピールをすること、自分にフォーカスして過ごしていきたいと思います。

川瀬大輝選手

(試合を振り返って)やっと1勝できました。前半は風下でプレーしましたが風の関係ないところで安易なミスを犯し失点してしまっていましたので得点差が広がったのかなと思います。後半は、その(セットプレー)部分が修正されましたので、勝利することができましたし、ノートライに抑えることができました。これでグループリーグが終了し、来週から順位決定戦の2試合になります。まず、ラグビーの試合ができることに感謝したいです。どんな形でもいいので勝利したいと思います。

坂本英人選手

正直なところ、前半はセットプレーが安定せずボールを簡単に相手に渡してしまい、苦しい時間が続きました。常に自分たちの形を意識しましたが、点差がつくにつれて不安も正直ありました。しかし後半からリザーブメンバーが入ってきて、セットプレーも安定し始めた頃から自分たちの目指すラグビーが形になり勝利することができたと思います。次の試合に向けて、正直僕自身、満身創痍の状態です。ただ四の五の言っていられない状況です。メンバーに選ばれましたら全力で戦っていきたいと思います。

栗原良多選手

(試合を振り返って)勝てて良かったです。相手のフォワードの動きをしっかり観察する時間がありましたので、ピッチに出たともフロントローでコミュニケーションを図り修正をし続けました。(2トライについて)前節でもそうでしたが、あそこまでボールを運んでくれた選手、モールを押し込んだフォワード陣で奪ったトライです。また、リザーブメンバーが入ったことによって後半の勢いにつながったと思いますし、チームの心の切り替えができたと思います。何より日頃練習で意識して積み重ねたことが試合に生かされたことが良かったです。(次の試合に向けて)取り組みは変わりません。クリタのラグビーを追求して勝利することはもちろんですが、ファンの皆様が楽しんでいただけるラグビーにもこだわっていきたいと思います。



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vs

VS 近鉄ライナーズ

2021.02.28

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 Aグループ
14:00 Kick Off
秩父宮ラグビー場(東京)
T G PG DG DG PG G T
0 0 2 0 6 前半 26 0 0 3 4
1 0 0 0 5 後半 26 0 0 3 4
1 0 2 0 11 合計 52 0 0 6 8

登録選手・リザーブ選手

個人得点

ポジション 選手名 T G PG DG
SO アンドリュー・ディーガン 0 0 2 0
HO 栗原 良多 1 0 0 0

スターティングメンバー

ポジション 選手名
PR 小山 翔也
HO 北條 耕太
PR レズリー・メイキン
LO 中尾 光男
LO 中村 匡汰
FL 石井 洋介
FL 川瀬 大輝
No.8 フェインガ・ファカイ
SH 山菅 一史
SO アンドリュー・ディーガン
WTB 坂本 英人
CTB 水野 拓人
CTB トム・イングリッシュ
WTB ナベテレヴ・ツランガニヴァル
FB 菅沼 神兵

リザーブメンバー

ポジション 選手名
R 栗原 良多
R 金 亨志
R 梶原 瑛
R 中村 謙吾
R 平野 和飛人
R 大政 亮
R 林田 拓朗
R 井出 三四郎

交代・入れ替え

交替・入替時間 内容
後半11分 小山 翔也→金 亨志
後半11分 北條 耕太→栗原 良多
後半17分 川瀬 大輝→平野 和飛人
後半19分 レズリー・メイキン→梶原 瑛
後半19分 水野 拓人→林田 拓朗
後半27分 フェインガ・ファカイ→中村 謙吾
後半27分 山菅 一史→大政 亮
後半32分 坂本 英人→井出 三四郎

レポート

 ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021の第2戦目は、一昨年シーズンに大敗した近鉄ライナーズとの戦いをラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場で昨日行われた。第1節同様に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い「無観客試合」として取り扱われたわけだが、この時期にラグビーの試合が行えることに感謝したい。この日、前節の怪我によりメンバーから外れた前田篤志やキャプテンの杉森健太郎の代わりに、今シーズンのニューフェイスである北條耕太やナベテレヴ・ツランガニヴァルといった新戦力がスターティングラインアップに名を連ねた。新人と中堅、そしてクリタを支え続けるベテランが一枚岩となり、強敵・近鉄に対し真っ向勝負の80分をレフリーのホイッスルの元、熱い戦いがきって落とされた。
 前半は、近鉄のキックオフで試合がスタート。キックオフボールをクリタがマイボールを確保し、自陣から敵陣に向けてエリアを取りにかかる。近鉄にボールを渡してもゲインを許さず、キックでエリア回復をする攻撃に対し、アンドリュー・ディーガンのキックやフォワードを活かしたプレーで相手にチャンスを与えない。最初に得点の機会を得たのはクリタ。前半9分、敵陣左サイド22mライン付近で獲得した近鉄のペナルティから迷わずショットを選択。ディーガンのキックは綺麗な放物線を描き、ポール中央を通過し先制点をゲット。クリタペースでこのまま勢いよく攻め込んでいきたいところだが、前半11分に自陣10mライン付近でコラプシングのペナルティからクリタの左サイドを攻め込まれトライを奪われる。コンバージョンゴールも成功し3-7と逆転されてしまう。このままズルズルと得点の機会を与えないのが今日のクリタ。トライを奪われた直後の12分、近鉄のキックパスをディーガンがインターセプト。そのまま左サイドラインを駆け抜けるディーガンに対し、近鉄がインゴール手前で強烈なタックルを仕掛け、ボールを前にこぼしトライならず。また、ディーガンのパントキックをナベテレヴがキャッチし、攻撃を仕掛けるも近鉄のディフェンスに阻まれ得点シーンを演出できない。前半23分、敵陣やや左サイド10m奥で近鉄がペナルティを犯す。ここでも迷わずショットを選択したディーガンが、安定したキックでペナルティゴールを成功させ6-7と点差を縮めた。しかし近鉄も黙ってはいない。前半29分には自陣22mラインから一気にクリタ陣に攻め込み、相手フォワードがランニングスキルを活かして中央にトライ。その後40分と終了間際の46分にトライを奪われ、前半を6-26で終える。

 後半はディーガンのキックオフで試合スタート。開始早々、近鉄はキックオフボールをキャッチしてからアタックを継続させていく。左右にライン攻撃を仕掛け、最後は右サイドを駆け抜けノーホイッスルトライで点差が広がる。これ以上点差を広げられたくないクリタは、後半11分に選手入替を行う。前半から相手のパワーに圧倒され続けてきたフォワードの第1列に金亨志と栗原良多をピッチに投入。その直後にスクラムから出たボールを中央突破され、クリタディフェンスを弾き飛ばして近鉄がポール下にトライを上げる。コンバージョンゴールも成功し6-38と一方的な展開になりかけてきた。しかし、この局面を打破したのはベテランの域に達したゲームキャプテンの中尾光男だ。ディーガンのキックオフボールを保持したラックにジャッカルで相手がたまらずノットリリースザボールのペナルティを犯す。敵陣中央10mライン付近でディーガンが右サイドラインにボールを蹴り出し、22mライン付近でラインアウトを獲得。栗原の投じたボールを保持しモールを形成。モールの最後尾につけた栗原にボールをまわし押し込む。近鉄のディフェンスがバラけたタイミングで一気にインゴールまで押し込み栗原がトライ。ディーガンのコンバージョンは惜しくも外れたもののようやくチームで掴み取ったトライとなった。その直後、リザーブ選手をピッチに投入し、クリタのラグビーをリフレッシュさせる。常に献身的にディフェンスしてきた水野拓人に代わり林田拓朗、ディフェンスで何度もクリタのピンチを救った川瀬大輝から平野和飛人。スクラムの第一列で身体を張り続けたレズリー・メイキンから努力の人・梶原瑛が躍動しにかかる。この時間は常にクリタ陣での攻防になるが、スクラムの精度が上がり安定し始めるものの近鉄のパワーでクリタのディフェンスに襲いかかる。後半26分にフェインガ・ファカイから中村謙吾、山菅一史から大政亮に代わった直後にちょっとしたクリタの隙を近鉄は逃さずトライを奪い、11-45と一方的な展開に。その4分後にクリタのペナルティから近鉄はサイドラインにボールを出しラインアウトを仕掛けてくる。ラインアウトからモールを形成し、一気に押し込みトライを許してしまう。後半32分に井出三四郎がピッチに入り最後の攻撃にかけていく。山菅と違ったテンポでリズム良くボール出しをする大政は、ディーガンからトム・イングリッシュにボールを供給するものの、そこからの「次の一手」が続かない。だが、もう1トライを奪う姿勢がクリタの面々に漲り続けたが後半ロスタイム3分が経過した後、クリタのスローフォワードの反則で万事休す。11-52でAグループ2連敗となった。釜石戦の敗戦からチームで共通意識を持ち、この2週間の練習で続けてきたディフェンスが功を奏したものの、近鉄のラグビーがクリタを大きく上回った結果となった。これでトップリーグチームとの戦いに進出する4位以内が限りなく難しくなったが可能性は残されている。この試合の前に行われた釜石vs清水建設は、1点差で清水建設が勝利し、1勝1敗が2チームとなった。次節最終戦の清水建設との戦いでクリタが勝利すると、3チーム間の勝ち点で順位が大きく変わってくる。痺れる状況に変わりはないがF Wリーダーの前田篤志は冷静に話す。「先を考えるとキリがない。とにかく目先の試合に集中することです」と語り、最後に「ただ純粋に清水に負けたくないです」と。
栗田工業ウォーターガッシュは、簡単には終わらない。皆様と一緒に最後まで戦い抜きたい。



試合後コメント
月田伸一ヘッドコーチ

近鉄さんのプレッシャーは覚悟していましたが、思った以上に強かったですね。しかし、選手たちは自分たちがやるべきこと、こだわることを80分間通してプレーしてくれたと思っています。アタックに関してはまだまだ課題が多いですが、ディフェンスに関しては通用する部分が多くありました。ただこの得点差は、近鉄さんの個人技で得点されたものです。(次の試合に向けて)限りなく厳しい状況ですが、我々は次の試合で勝ち点5を奪いにいくことだけです。そこにフォーカスして、チームとしてマインドセットして得点シーンを多く演出できるように2週間準備したいと思います。

中尾光男ゲームキャプテン

前半はすごく良かったと思いますし練習した形が試合で出せたと思っています。しかし後半に入って、攻撃のフェイズを重ねられたときに、僕らの足が止まってしまいトライを許してしまいましたが、要所要所でいい場面もあったと思います。釜石戦の敗戦から練習の中で、水野(拓人)を中心に、フォーカスすべきところをメンバー内で共有していましたので、その結果が表現できたんじゃないかと感じています。個人的にはもっともっと運動量を上げられたと思います。(次の試合に向けて)現時点での結果を見ると、上位グループに進出することが限りなく難しいと思います。しかし私たちがやることは変わりません。しっかり準備してうちのラグビーを確立させ、最後までこだわってプレーして行きたいと思います。

大政亮選手

(試合を振り返って)僕自身、久しぶりの試合でした。相手に合わせるのではく、練習通りに進めることと自分の強みのアタックを生かしたプレーを心がけました。また前半から試合を作ってきた山菅(一史)と僕は同じスクラムハーフでもタイプが全く違います。後半の途中から入ったので、僕なりのリズムでテンポを意識しました。誰から見ても近鉄さんは強くて手強い相手でしたが、もう少しチームとしてやれることはあったと思います。次に向けてもう一度しっかりと練習の段階から準備して良い結果を出すために頑張りたいと思います。

水野拓人選手

(試合を振り返って)強かったですね、近鉄さん。準備してきたことはチームとして表現できていましたが、接点の部分で相手に圧倒されたので、次回に向けての課題にしたいです。(ディフェンスが良かったのでは?)そう見てくださったのならそうだと思いたいです。特に意識した部分ではなかったのですが、周りとのコミュニケーションを強く図ったので、そのコミュニケーションでディフェンスの精度が高まったのかもしれません。(清水建設戦に向けて)僕らのスタンダードを上げることが次の試合に重要だと思っています。練習からそのこだわっていくスタンダードをあげられるようにして行きたいと思います。

金亨志選手

やろうとしていたこと、一人ひとりのフォーカスポイントはできていたと思いますが、相手の個人プレーで圧倒された試合でした。今回はリザーブだったので、後半に投入されたらどうするなど、栗原(良多)くんと話し合っていましたので、互角にスクラムが組めと思います。また個人的にも出場してからアグレッシブに動いていこうと意識していましたので、常にボールに絡むプレーができたかなと感じています。(次の試合に向けて)もう負けられません。勝ちにこだわって行きたいと思います。

栗原良多選手

セットプレーで近鉄さんに終始圧倒された試合になりました。しかし後半11分から出場しましたが、前半押されていたスクラムもフロントローでコミュニケーションを常に取り続け、修正をかけ続けていきました。ラインアウトもプレー精度は良かったのではないかと思います。(トライについて)非常に嬉しいですが、あそこまでボールを運んでくれたメンバーやモールもF W全員で押し込んだので、私一人のトライではなく全員でもぎ取ったトライでした。昨年近鉄さんから奪えなかったトライが奪えたことは素直に喜びたいと思います。(次節に向けて)僕らには絶対に落とせない試合です。次までの2週間、しっかりと調整して勝ち点5を取りにいきたいと思います。

アンドリュー・ディーガン選手

(試合を振り返って)非常に難しいゲームでした。近鉄さんはしっかりと準備してきたと思います。しかしクリタもフィジカルの部分で身体を張り続けてくれたことは良かったと思っています。(清水建設戦に向けて)今日の試合でメンバーは自信をつけたはずです。特にフィジカルの部分は、清水さんを上回れると今日の試合でわかりました。この近鉄さんとの試合がベンチマークとなり、釜石戦に比べるとよくなってきていることがチーム全員わかったと思いますので、この自信を次の清水戦にぶつけて戦い抜いて行きたいと思います。



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vs

VS 釜石シーウェイブスRFC

2021.02.13

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021 Aグループ
13:00 Kick Off
栗田昭島グラウンド(東京)
T G PG DG DG PG G T
1 1 1 0 10 前半 14 0 0 2 2
2 2 0 0 14 後半 21 0 0 3 3
3 3 1 0 24 合計 35 0 0 5 5

登録選手・リザーブ選手

個人得点

ポジション 選手名 T G PG DG
FL 石井 洋介 1 0 0 0
No.8 ワイクリフ・パールー 1 0 0 0
WTB 河野 友希 1 0 0 0
SO アンドリュー・ディーガン 0 3 1 0

スターティングメンバー

ポジション 選手名
PR 金 亨志
HO 前田 篤志
PR レズリー・メイキン
LO 中尾 光男
LO 中村 匡汰
FL 石井 洋介
FL 川瀬 大輝
No.8 ワイクリフ・パールー
SH 山菅 一史
SO アンドリュー・ディーガン
WTB 河野 友希
CTB 林田 拓朗
CTB トム・イングリッシュ
WTB 坂本 英人
FB 杉森 健太郎

リザーブメンバー

ポジション 選手名
R 栗原 良多
R 小山 翔也
R 徳山 孝志
R 中村 謙吾
R フェインガ・ファカイ
R 本村 旨崇
R 水野 拓人
R 菅沼 神兵

交替・入れ替え

交替・入替時間 内容
後半00分 前田 篤志→栗原 良多
後半09分 金 亨志→小山翔也
後半18分 ワイクリフ・パールー→フェインガ・ファカイ
後半29分 レズリー・メイキン→徳山 孝志
後半29分 林田 拓朗→水野 拓人
後半33分 山菅 一史→本村 旨崇
後半41分 石井 洋介→中村 謙吾
後半41分 坂本 英人→菅沼 神兵

レポート

 ようやくラグビーができる−−。
昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、1月17日に開幕予定であった「ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021」が、当初のフォーマットから大幅に変更して開幕を迎えることができた。しかし、この試合を迎えるまでチームだけの努力だけではなく、多くの皆様に支えられラグビーを継続できたことは、本当に感謝しかない。改めて御礼を申し上げたい。昨日の天候は若干強めの風が吹くものの、小春日和を感じさせる暖かさのもと実に391日振りの公式戦が、地元・昭島グラウンドで行われた。対戦相手は一昨年、惜しくも3点差での敗戦を喫してしまった釜石シーウェイブスRFC。トップリーグチームとの戦いを挑むことのできる「プレーオフトーナメント」進出に向けて、絶対負けられない戦いが13時、レフリーのホイッスルで始まった。
 前半は、アンドリュー・ディーガンのキックオフでスタート。先制点を奪いたいクリタだったが、キックオフボールを相手に維持され、自陣でのディフェンスが続く。しかし、執拗にフォワードで攻め続けてくる釜石の攻撃を防ぎ続け、相手の反則を誘い主導権を相手に渡さないプレーを続ける。ただ、クリタも相手を圧倒させるだけのプレーが思うようにいかない。相手のペナルティで優位に立ち敵陣奥深くまで攻め込むものの、簡単にボールをターンオーバーされてしまうシーンが多く見受けられた。ハーフウェイラインを挟み、両チーム決定的なチャンスを作れぬまま15分が経過。最初にチャンスをものにしたのは釜石。クリタのペナルティから敵陣右サイドゴール前5mライン付近までタッチキックでボールを出し、マイボールラインアウトを仕掛けモール形成。必死にディフェンスするクリタのラックサイドを容赦なく攻め続けトライを奪ってくる。その後のコンバージョンも成功され0-7となる。しかし、このままズルズルと攻め込まれないのが今のクリタ。常に接点で身体を張り続けるディフェンスに川瀬大輝のジャッカルで相手のペナルティを誘う。川瀬は一昨年、怪我により公式戦どころか練習試合も出場できなかった苦労人。今シーズン、今までの鬱憤を晴らすかのように何度もチームのピンチを得意のジャッカルで救う。前半26分、クリタは決定的なチャンスを演出し、敵陣インゴール手前でのマイボールスクラムもペナルティを犯し、得点チャンスを逃してしまう。しかし相手の攻撃を防ぎ続け、釜石のスクラムハーフがたまらずパントキックを仕掛ける。そのボールをクリタが保持し続け相手ゴールラインまで一気に攻め込む。そして前半29分、ラック攻撃を仕掛ける中、石井洋介が雪崩れ込むようにインゴールに飛び込みトライ。その後のディーガンのコンバージョンも成功し7-7と振り出しに戻す。そして、33分。敵陣やや左サイド10mライン付近、またしても川瀬のジャッカルで相手のペナルティを誘いペナルティゴールを選択。ディーガンしっかりと成功させ、ついに逆転。10-7と主導権を握り始める。ここから優位に立ちたいところだが39分、クリタのペナルティで釜石にショットを選択されるが失敗に終わり前半40分を過ぎる。ロスタイム4分を経過した44分、釜石がアタックを継続させクリタのバックス陣を振り切りトライ、そしてコンバージョンも成功させ前半が終了。

 後半は、釜石のキックオフで試合が始まる。クリタは前半に出場した前田篤志と入替に栗原良多が後半のスタートからピッチに入る。後半開始早々、釜石に22mラインまで攻め込まれるもトム・イングリッシュのターンオーバーと巧みなステップで相手を翻弄しペナルティを誘う。このまま一気に逆転までいきたいところだが、相手のラフプレーに攻撃のリズムが掴めず混沌とした時間だけが経過してしまう。ようやくチーム内に歓喜が訪れたのが後半12分、敵陣インゴール手前での攻撃から何度もラックサイドを突き続け、ワイクリフ・パールーがインゴールに飛び込みトライ。再びリードを奪い、ディーガンの精度高いコンバージョンゴールで得点差を広げる。このまま勢いを継続させたいところだが、完全に相手のペースに合わせてしまう。後半18分、21分と立て続けてトライを献上、再びリードを許してしまう。この2本の失点は自陣ゴール前まで攻め込まれラインアウトからのモール攻撃からラックサイドを突かれての失点であり、釜石の攻撃パターンを受けてしまい苦しい時間が続いていく。そして後半32分、自陣22mライン付近でのスクラムから出たボールを相手スクラムハーフが、インゴールまで走り込みトライを許してしまう。時間を考えると非常に痛い失点となり17-35となる。最後に意地を見せたいクリタは後半44分、敵陣ゴール前5mライン付近で、相手のペナルティを誘いながら攻撃を継続。本村旨崇からディーガン、菅沼神兵とつなぎ、最後は河野友希が左中間にトライを奪い、ディーガンのコンバージョンも成功させるがここでノーサイド。チームとしてはホームグラウンドでの開幕戦であり、どうしても勝利で飾りたいところだったが悔しい敗戦となった。この敗戦でプレーオフトーナメント進出に黄色信号が点灯したが、悲観する必要はない。今回の23人のメンバーには入れなかった選手が虎視眈々と出場機会を狙っている。次節は2月28日(日)に秩父宮ラグビー場で行われる近鉄ライナーズとの一戦。トップチャレンジリーグに所属しているチームの中でも格の違いを見せつけているチームだけとあって、今回の試合より厳しい戦いになると予想される。今回の敗戦を活かすのも引きずるのも今後の取り組み次第である。チームのために、そして勝利のために一丸となって戦っていきたい。
改めて今回の試合に向けて多くの関係者をはじめ、昭島のみなさま、そして多くのウォーターガッシュファンの皆様に御礼を申し上げたい。トップチャレンジリーグのラストイヤー、最後の最後まで一緒に戦ってほしいと思います。



試合後コメント
月田伸一ヘッドコーチ

釜石さんのペースで終始試合が進んだため、私たちがやりたいラグビーをさせてもらえませんでした。試合には負けてしまいましたが、身体のサイズで大きな釜石さんのフォワード陣に対して、スクラムで互角に組めたことはこれからの試合に向けての収穫だったと思います。敗戦したわけなので、細かいところをあげるとキリがないのですが、まずは自分たちのやるべきことにフォーカスすること、常に主導権を握って試合を進めていくこと、シンプルに考えていきたいと思います。(次節に向けて)相手が近鉄さんですので、チームとしてはものすごく大きなチャレンジになると思います。非常に強い相手ですが、チーム一丸になって準備していきたいと思います。

杉森健太郎キャプテン

釜石さんのFW陣に終始圧倒された試合になってしまいました。また自分たちのセットプレーの精度(キックオフ、ラインアウト、スクラム)が悪く、最後まで自分たちの形を作れないまま終わってしまいました。しかし、チームで取り組んできたディフェンスに関してはよかった部分もありましたが、失点の多くは、安易なタックルのミス、コミュニケーション不足が招いたもので、相手のペースに合わせてしまいました。ラインブレイクやゴール前のアタックに関してはしっかりスコアできていましたので、最初から続けられるようにしていきたいと思います。(次の試合に向けて)近鉄さんは、トップチャレンジリーグの中で一番手強い相手だと誰もが感じていると思います。その相手にどれだけ自分たちがチャレンジできるか、するためにどんな準備が必要なのかをチームで考えて再来週に向けて取り組んでいきたいと思います。

河野友希選手

前半はチームとしてやりたかった取り組みができましたがペナルティを重ねてしまい、チャンスを潰して最後の最後まで乗り切れなかったと思います。しかし、ディフェンスやアタックも良い形ができたと思います。後半に入り、立て続けに失点した時点で立て直すことができず崩れてしまいました。劣勢になっているときこそ、そのままズルズルと崩れるのではなく、苦しい時間帯だからこそ、しっかりとエナジー持って気持ちでもプレーでもビルドアップしていけるようにしないといけませんね。個人的には要所でボールをもらえ、アタックできていましたが、しっかりとクリーンなボールを出さなければならないシチュエーションで細かいミスをしてしまったので、次に向けて修正していきたいと思います。(久しぶりの試合ですね)はい、チームとしても個人的にも1年ちょっと経過していましたね。昨年手術をしましたが、自身のコンディションも良くなってきていますし、上がってきています。これから試合が続きますので、維持するのではなくコンディションを上げ続けていきたいと思います。(近鉄戦に向けて)今日の試合以上にタフな試合になると思います。チームで認識し、よりハードに気持ちを昂ぶらせていきたいと思います。

石井洋介選手

初戦だからでしょうか、チームとしてバタつきが感じられた試合になってしまいました。(個人的にアタックもディフェンスも良かったのではないか?)そうですね、久しぶりの試合でしたが動き自体も悪くなかったと思います。また怪我から復帰してプレーできたことは良かったのですが、出場するからには責任もありますし、この試合に出られなかった選手のためにも結果を出さなければならなかったです。次の試合に向けて2週間あります。もう一度チームで修正して近鉄戦に挑みたいと思います。



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