2021.04.03
T | G | PG | DG | 計 | 計 | DG | PG | G | T | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 前半 | 10 | 0 | 1 | 1 | 1 |
3 | 2 | 0 | 0 | 19 | 後半 | 19 | 0 | 0 | 2 | 3 |
3 | 2 | 1 | 0 | 22 | 合計 | 29 | 0 | 1 | 3 | 4 |
登録選手・リザーブ選手
個人得点
ポジション | 選手名 | T | G | PG | DG | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
SO | アンドリュー・ディーガン | 1 | 2 | 1 | 0 | ||
WTB | 河野 友希 | 1 | 0 | 0 | 0 | ||
WTB | 杉森 健太郎 | 1 | 0 | 0 | 0 |
スターティングメンバー
ポジション | 選手名 | ||
---|---|---|---|
PR | 金 亨志 | ||
HO | 栗原 良多 | ||
PR | レズリー・メイキン | ||
LO | 中村 匡汰 | ||
LO | ギディオン・コイージェレンバーグ | ||
FL | 中村 謙吾 | ||
FL | 石井 洋介 | ||
No.8 | ネッド・ハニガン | ||
SH | 山菅 一史 | ||
SO | アンドリュー・ディーガン | ||
WTB | 河野 友希 | ||
CTB | 太田 光一 | ||
CTB | トム・イングリッシュ | ||
WTB | 坂本 英人 | ||
FB | 菅沼 神兵(C) |
リザーブメンバー
ポジション | 選手名 | ||
---|---|---|---|
R | 前田 篤志 | ||
R | 小山 翔也 | ||
R | 出渕 賢史 | ||
R | 平野 和飛人 | ||
R | ワイクリフ・パールー | ||
R | 大政 亮 | ||
R | 水野 拓人 | ||
R | 杉森 健太郎 |
交代・入れ替え
交替・入替時間 | 内容 | ||
---|---|---|---|
前半36分 | 栗原 良多→前田 篤志 | ||
後半12分 | 金 亨志→小山 翔也 | ||
後半16分 | ネッド・ハニガン→ワイクリフ・パールー | ||
後半16分 | 山菅 一史→大政 亮 | ||
後半20分 | 坂本 英人→杉森 健太郎 | ||
後半25分 | 中村 謙吾→平野 和飛人 | ||
後半28分 | 太田 光一→水野 拓人 | ||
後半31分 | レズリー・メイキン→出渕 賢史 |
レポート
新型コロナウイルス感染症拡大により大きく大会フォーマットが変更された「ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021」のチーム最終戦が4月3日、広島県・広島総合ラグビー場で行われた。2月13日、初戦の釜石シーウェイブスRFCの一戦は、本拠地(昭島)開催で屈辱の敗戦。トップリーグとの挑戦権が得られる「プレーオフトーナメント」への進出が絶望的になった近鉄ラーナーズ戦の敗戦や劇的な勝利を飾った清水建設ブルーシャークス戦も今の栗田工業ウォーターガッシュの現在地である。今シーズンでトップチャレンジリーグは終わりを告げ、2022年1月から始まる新リーグに向けて、最終戦を勝利で飾り、「最高の5位」で終わりたいところ。この試合に現役オーストラリア代表のネッド・ハニガンが初見参。また今まで献身的にチームのために身体を張り続けてくれたワイクリフ・パールーは、この試合で現役生活に終わりを告げる。もちろん、チームとって初戦で敗戦した釜石シーウェイブスRFCとのリベンジマッチなど様々な思いを各選手やスタッフが抱きながら14時15分、桜の花びらが舞い散る中、レフリーのホイッスルで80分の戦いが始まった。
前半はアンドリュー・ディーガンのキックオフで試合が始まる。開始早々クリタは敵陣でマイボールラインアウトを得るがハンドリングミスでアタックが継続できない。ただ初戦で課題となったスクラムはほぼ互角に渡り合う。また釜石ボールのラインアウトのミスをディーガンがスチールし、大きくゲインするも他のメンバーとのコミュニケーションが合わずノックオンのミスを犯してしまう。前半8分、釜石のペナルティで得たチャンスをタッチラインにボールを蹴り出しマイボールラインアウトを獲得するがペナルティでチャンスを逃してしまう。肝心なところでペナルティの反則やミスを犯し、得点シーンを演出できずお互いスコアレスの時間だけが経過していく。最初の得点シーンは釜石。前半28分、クリタ陣で得たペナルティを迷わずショットを選択。角度も距離もやさしい場所から決め0-3と釜石が主導権を握る。そして32分、釜石がクリタ陣左サイドからのラインアウトを大きく右に展開。インゴール手前のラックから相手スクラムハーフがクリタディフェンスのギャップをつき中央にトライ。コンバージョンも成功し0-10と得点差を広げてくる。これ以上失点を防ぎたいクリタはその5分後、敵陣中央22mライン付近で得たペナルティを迷わずショットを選択。危なげなくディーガンが決め3-10とする。しかし、この一連の流れのなかで、栗原良多が肩を痛め、前田篤志がピッチに入る。前半のうちに得点差を縮めたいところだがチャンスを得点に繋げられないまま前半が終了。
後半は釜石のキックオフで試合が始まる。泣いても笑ってもラスト40分にクリタの意地を見せつけたい。後半開始5分、釜石のアタックを山菅がターンオーバーし、相手ディフェンスの背後にパントキック。相手ディフェンスがボールをハンブルしている間に河野友希が詰め寄り、キックでインゴールまで運びトライ。ディーガンのコンバージョンは失敗に終わったものの8-10と反撃の狼煙をあげる。ただ、良いリズムになりつつあるアタックもミスで継続できず、3分後に釜石にトライを奪われてしまう。コンバージョンも成功され8-17となる。これ以上離されたくないクリタは、果敢にアタックを仕掛ける。自陣から菅沼新兵が大きくゲイン。山菅の巧みなボール捌きで左右に攻撃を展開。釜石ディフェンスのギャップをつき、ディーガンが中央にトライ。その後のコンバージョンも成功し15-17と必死に食らいつく。勢いづけたいクリタはリザーブ選手をピッチに投入させてくる。フロントローでクリタのスクラムを支えてきた金亨志から小山翔也に入替、そして後半16分、この試合で現役生活を終えるワイクリフが様々な思いを抱きながらネッドと交替し最後の反撃を仕掛けにくる。だがこの試合のクリタは完全にチームの歯車が噛み合っていなかった。後半21、30分と立て続けてトライを奪われ15-29と2トライ2ゴールの差になってしまった。刻々と時間だけが経過していく中、最後に意地を見せたいクリタは38分、敵陣左サイド22mラインでのラインアウトから攻撃を仕掛け、相手ペナルティをディーガンがクイックスタート、ラックから大政亮、ディーガン、菅沼と繋ぎ最後は主将の杉森健太郎が相手のタックルを受けながらも右隅にトライ。難しい角度からのコンバージョンもディーガンの正確なキックで2点を挙げ22-29と最後のチャンスにかける。しかし、最後の最後まで諦めず果敢にタックルを仕掛け続けたもののスクラムでの反則を犯し万事休す。チーム最終戦を勝利で飾ることができずに2021シーズンを終えることとなった。新型コロナウイルス感染症拡大で非常に難しいシーズンとなったトップチャレンジリーグのラストイヤー。大会フォーマットの変更やシーズン延期の状況に、最後まで順応できなかったことが、この結果になったのだと選手含めスタッフ陣もそう思っているに違いない。しかし、経過した時間を巻き戻すことはできないチーム活動に「たられば」はあり得ない。真摯に謙虚にこの結果をチーム全体で受け止め、やり過ごしてはならない。なぜこの結果になったのかをもう一度反省し、次に向けて準備を進めていきたいと思う。
最後にクリタラグビーのために身体を張り続けてくれたワイクリフ・パールー、本当にお疲れ様でした。そしてありがとう。また、なかなか結果に結びつかない状況でもチームを支えてくださったクリタ関係者の皆さま、昭島市民の皆さま、そして何よりチームを愛し続けてくれたファンの皆さま、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
今日の試合はミスが多く、なかなか自分たちの波に乗れなかったです。レフリーとのコミュニケーションがうまく取れていなかったのと、それ以上に釜石さんのセットプレーが素晴らしかったと思います。今後チームが上昇していくためには、もっと個々が厳しく向き合っていかなければ接戦を勝ち切ることができません。本日の試合は負けましたが、清水建設や九州電力戦の逆転勝利は、チームの成長を感じることができた試合でしたので、そういった試合を多く経験したいです。次に向けてまず選手他スタッフには十分休養する時間を設けて欲しいですね。今までにない状況で精神も擦り切らしてきたと思います。しっかりリフレッシュしてから新たなステージにチャレンジしていきたいと思います。
菅沼神兵ゲームキャプテン
(試合を振り返って)はい、、、(かなり沈黙)難しい質問ですね。良かったところもありましたが、スコアを見るとただ悔しいだけです。この試合に向けてチームの雰囲気も良かったですし、ここ2試合の接戦を勝利してきた自信もあったと思います。しかし敗戦をした結果を見ると、うちのチームのフィットネスが足らないのか、ゲームプランが間違っていたのかなど上手くチームとして進めることができなかったと思います。ただ反省だけが残った試合になってしまいました。(チームが強くなるためには?)う〜ん、、たくさんあると思います。一番シンプルなのは個々の実力を伸ばすことだと思います。個が強くなければチームは強くなれません。チームとしての戦い方はもちろんありますが、今できる準備としては、個人のフィットネスなのか、アジリティなのか、ストレングスなのか、足らないところを補う、そして強くすることだと思っています。
太田光一選手
とにかく悔しいです。(久しぶりの出場でした)自分のプレーはおいといて、この試合に出場できるまでに至ったのはトレーナーさんの献身的なサポートがあったからだと思います。長年怪我に苦しみましたが、諦めることなく寄り添ってくれた桑田さん(トレーナー)には感謝しかないです。試合を振り返ると反省しかなく、自分たちの強みが出せなく最後まで試合の中で修正できなかったです。今シーズンは非常に難しかったです。また試合数の少ない公式戦でしたが、チームが試合を重ねるごとに良くなってきて、成長していることを感じ取れたのでこの経験を次に生かしていきたいと思います。(今何がしたいですか?)周りの選手は休みたいと思っていると思いますが、私は怪我で散々休んできましたので、ちょっと息をついたらトレーニングを始めたいと思います。
中村謙吾選手
久しぶりにスタメン出場し、自分のやれることをやり切りたいとおもっていましたが、自分たちのスタイルで主導権を最後まで握ることなく、釜石さんの土俵で試合をしてしまいました。また、自分たちが重ねたペナルティの多さが致命傷になり失点につながったと思います。個人的にはコミュニケーションのミスなどありましたが、しっかりとプレーできたと思います。今シーズンは非常に難しかったのですが、個人的には大きく成長できたと思っています。素晴らしい外国人選手の加入により、良い影響を与えてもらえたと思います。今年得られたベースアップのところを来シーズンに向けてしっかりアップデートしていきたいと思います。そして釜石さんに来年こそリベンジしたいです。
ワイクリフ・パールー選手
最初の15分でチャンスを生かすことができなかったことが、常に劣勢に立たされた試合になったと思います。またブレイクダウンのところで相手からのプレッシャーが強く、チームとしてもプレーが急ぎすぎて上手くいっていませんでした。(後半にピッチに出た時の気持ちは?)とにかく今まで通り自分の仕事をすることだけを考えていました。しかし、セットプレーの繰り返しでインパクトを与えるプレーができませんでした。(ノーサイドの瞬間は?)清々しく素晴らしい気持ちでいました。この歳までラグビーを続けられることができうれしい気持ちでいました。これはクリタのメンバーだけではなく、私のラグビー人生に関わってくれた全ての方に感謝したいです。(今何がしたい?)とにかく休みたいです(笑)し、家族との時間をゆっくり共有したいです。
ネッド・ハニガン選手
もっともっと上手く試合を運べたと思いますが、次のシーズンに繋がるプレーもできたと思います。約2ヶ月間、自身の怪我でチームから遅れてしまいましたが、今日の試合のためにサポートしてくれたスタッフに感謝したいです。(次のシーズンに向けて)まず、プレシーズンを充実させることです。今まで取り組んできたことを自分たちのものにするためには欠かせない時間だと思います。その取り組みがその後のシーズンに活かせるのではないかと思います。そしてクリタの選手は、自身のチームのために取り組めるメンバーです。必ず今より強くなると思います。




VS九州電力キューデンヴォルテクス
2021.03.21
T | G | PG | DG | 計 | 計 | DG | PG | G | T | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 前半 | 6 | 0 | 2 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 | 0 | 10 | 後半 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 | 0 | 10 | 合計 | 9 | 0 | 3 | 0 | 0 |
登録選手・リザーブ選手
個人得点
ポジション | 選手名 | T | G | PG | DG | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
SO | アンドリュー・ディーガン | 0 | 1 | 1 | 0 | ||
No.8 | ワイクリフ・パールー | 1 | 0 | 0 | 0 |
スターティングメンバー
ポジション | 選手名 | ||
---|---|---|---|
PR | 金 亨志 | ||
HO | 栗原 良多 | ||
PR | レズリー・メイキン | ||
LO | 中尾 光男(C) | ||
LO | ギディオン・コイージェレンバーグ | ||
FL | 中村 匡汰 | ||
FL | 川瀬 大輝 | ||
No.8 | フェインガ・ファカイ | ||
SH | 山菅 一史 | ||
SO | アンドリュー・ディーガン | ||
WTB | 河野 友希 | ||
CTB | 中島 拓也 | ||
CTB | トム・イングリッシュ | ||
WTB | 坂本 英人 | ||
FB | 菅沼 神兵 |
リザーブメンバー
ポジション | 選手名 | ||
---|---|---|---|
R | 前田 篤志 | ||
R | 小山 翔也 | ||
R | 出渕 賢史 | ||
R | 平井 伸幸 | ||
R | ワイクリフ・パールー | ||
R | 大政 亮 | ||
R | 林田 拓朗 | ||
R | 井出 三四郎 |
交代・入れ替え
交替・入替時間 | 内容 | ||
---|---|---|---|
後半13分 | 中尾 光男→平井 伸幸 | ||
後半19分 | 金 亨志→小山 翔也 | ||
後半19分 | フェインガ・ファカイ→ワイクリフ・パールー | ||
後半22分 | 中島 拓也→林田 拓朗 | ||
後半23分 | 栗原 良多→前田 篤志 | ||
後半28分 | 山菅 一史→大政 亮 | ||
後半41分 | レズリー・メイキン→出渕 賢史 |
レポート
ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2021も残すところあと2試合。Aグループ4位で、5-8位順位決定戦に回ったウォーターガッシュ。とにかく2連勝を目指し、5位を死守するためにはどうしても負けられない試合。順位決定戦の第1節は、Bグループ3位の九州電力キューデンヴォルテクスとの一戦。昨日からの天気予報も的中し、最悪なコンディションを覚悟した天候も、想像を超える雨風の強さで選手の体力を奪っていく。またこの試合、2019年12月の豊田自動織機シャトルズ戦以来のメンバー入りとなった平井伸幸がチームを鼓舞する。後半のロスタイムに歓喜が訪れることを誰もが想像すらしなかったこの九州電力との一戦は11時半、レフリーのホイッスルによって熱く激しく両チームの選手が自チームのために身体を張り続けた。
前半はアンドリュー・ディーガンのキックオフで試合が始まる。風下となったクリタは開始早々相手のノックオンでマイボールスクラム。セットプレーで優位に立ちたいクリタは、前節までの課題でもあったスクラムをこの試合に向けて修正を図ってきた。安定したスクラムでバックスに質の良いボールを供給できたものの強風の影響でエリアをなかなか確保できず、また、時折強い雨脚となりボールが手につかず、継続したアタックができない。開始から自陣でのプレーを余儀なくされたクリタは、組織的なディフェンスで何度もインゴール前のピンチを防ぎ切る。しかし前半12分に試合が動く。自陣やや右サイド22mライン手前、クリタのオフサイドから九州電力はショットを選択。難なく決め0-3と九州電力が先制。その後のディーガンのキックオフボールで反撃をしたいクリタだが、キックしたボールが大きく戻されてしまう始末。また九州電力のキックが風に乗り一気にエリアを戻され心が折れかかる状況が続く。またラインアウトから放つボールも流れる状況で、何度もスクラムを組むシチュエーションが続く。混沌とした時間だけが経過していく中、前半終了間近に試合が再び動く。44分、クリタが自陣22mライン付近でのラックで、ボールを手で書き出したためにハンドのペナルティ。九州電力は迷わずショットを選択しペナルティゴール成功。0-6となった時点で前半が終了。
後半は九州電力のキックオフで試合がスタート。低い弾道のキックオフボールをディーガンが大きく蹴り返し一気に敵陣22mライン付近までエリアを奪う。開始早々の後半3分、クリタにチャンスが訪れる。ラックで攻撃のフェーズを重ね、一気にインゴール前まで攻め込むがボールキャリーがクローリングのペナルティで得点を奪うことができない。こんな状況が続き、大きく試合が動かない状況を打破するため、リザーブの選手をピッチに投入。試合中に脚を痛めた中尾光男に変わり後半13分に平井伸幸を投入。その直後にインゴール手前まで攻め込むも相手のジャッカルにたまらずペナルティを犯しトライならず。金亨志から小山翔也、フェインガ・ファカイからワイクリフ・パールーがピッチに入り、チームをリフレッシュさせ始めた後半20分、敵陣ほぼ中央の22mライン付近で九州電力がペナルティを犯し、ディーガンがショットを選択。難なく決め3-6と点差を縮める。このリズムで得点を重ねたいところだが、思うようにアッタクを継続することができない。自陣のディフェンスを余儀なくされていた後半27分、相手ボールのラインアウトから攻め込まれ、たまらずモールオフサイドを犯してしまう。しかし、日頃鍛えたディフェンス力で何度もインゴール手前のピンチを防ぎ最小失点で凌ぎ切るが、後半37分に自陣22mライン付近でのオフサイドで、九州電力にショットを決められ3-9と逆に得点差を離されてしまう。後がないクリタは攻撃のフェーズを重ね、相手のペナルティを誘う。ロスタイム4分を告げるアナウンスが流れ、敵陣左サイド22mライン付近で得た相手ペナルティをサイドラインにボールを蹴り出しマイボールラインアウトからモールで攻め込む。一度は九州電力に防ぎ切られたモールだったが、相手にボールを奪われてもボールを奪い返す。そして三度訪れたラインアウトで中村匡汰がマイボールを保持しモールを形成。スロー後、最後尾に加わった前田篤志をフォローしたワイクリフが左サイドのインゴールに飛び込みトライ。風の影響を受けるために、ディーガンのコンバージョンキックをトム・イングリッシュがサポート。難しい角度、そして強い風が吹く中、見事にゴール成功。10-9となった時点でレフリーのホイッスルがなりノーサイド。劇的な勝利を飾り、再来週に広島で行われる順位決定戦は5・6位決定戦にコマを進めた。試合観戦をした多くのクリタ関係者が歓喜する傍ら、選手たちは冷静に試合を振り返っていた。このコンディションでフォワード主体のアタックで消化不良に感じたバックス陣はなにを思い感じただろうか。また、この試合メンバーに選ばれたものの出場機会が回ってこなかった井出三四郎、そして出場する権利さえ得られなかったノンメンバーは次の試合に向けて己にどんな誓いを立てただろうか。トップチャレンジリーグのラストイヤーで次の試合が今シーズン最後の試合。それぞれの思いを一つに集結させ4月3日、Aグループ初戦で敗戦した釜石シーウェイブスとのリベンジマッチ。どんなに頑張っても5位以上に上がることのできない一戦に向けて、40人の選手とスタッフ、関係者やクリタファンを含めたALLクリタで価値ある1勝をもぎ取りたい。
この天気の中で両チームとも難しい試合だったと思います。こんな状況でも最後のモールからのトライ、ディーガンのキック成功も含めて、選手の頑張りを評価したいと思います。(最悪のコンディションでした)確かにそうですが、条件も(お互い)イーブンですし、これがラグビーだと思いますね。前半は風下でしたのでボールを保持し、優位に試合を進めることを意識させました。ペナルティからのキックで失点をしましたが、トライを奪われることなく後半に進めました。しかし、なかなか得点チャンスを演出できませんでしたが、最後のラインアウトの選択は良かったと思いますし結果に結びつくことができて、私含めエキサイティングできました。(次の試合に向けて)最後の試合も勝利で飾りたいですし、その勝利を掴むためにしっかり準備もしていきたいと思います。
中尾光男ゲームキャプテン
(試合を振り返って)結果が全てで勝利できて良かったです。前半は風下で自分たちの求めるラグビーはできませんでしたが、とにかく我慢し続け得点できるチャンスを待ち続けました。最後(モールトライ)は我慢し続けた結果だと思います。ハーフタイム時にはセットプレーやフィールドプレーの修正を含め、点差関係なくとにかく我慢し続ければ得点チャンスは来るとみんなで共有しました。(次の試合に向けて)次の試合も今までと変わらず準備をしっかりすることだと思いますし、最後も勝利したいと思います。
中島拓也選手
(試合を振り返って)そうですね、この天候で消化不良の試合になったと思います。(その消化不良とは?)こんな天候でしたから、バックスからの攻撃シーンは少なく、フォワード主体の攻撃になりました。今まで準備してきたことを発揮するシチュエーションが少なかったことが要因だと思います。ただ、しっかり勝ち切れましたし、次に繋がる勝利だったと思います。(前節は久しぶりの試合でした)そうですね、1年以上試合に出ていませんでしたが、怪我を気にすることもなく、コーチ陣が求めるものも体現できていると思っています。次の試合も今までと変わらず準備をして、僕自身の強みであるボールキャリーやディフェンの部分を生かせるようにしたいと思います。
平井伸幸選手
雨でしたのでボールが動かない試合展開になると思っていましたが、その通りの試合内容になったと思います。キックの差での勝敗になると思っていました。最後の得点シーンは、フォワードの強みでもあるモールでのトライを奪うことができ、そしてディーガンのキックで最後逆転できました。私自身、久しぶりの試合(昨シーズンの織機戦以来)でしたが、日々準備し続けていましたので、問題なくプレーすることができました。ただ、楽しんラグビーを体感したかったのですが、この雨でしたので。。。でも試合に出られたことが良かったのかなと思います。個人的には果敢にタックルを相手に仕掛けていけましたので、次の試合に繋がる内容だったと思います。(次の試合に向けて)今シーズン、最後の試合です、勝利して締めくくりたいと思います。
菅沼神兵選手
九電さんは、前半風上でしたので、キックでエリアを確保し、僕たちのペナルティを誘って得点を重ねたかったと思いますが、しっかりディフェンスして多くの得点を許さなかったのはプラン通りだったと思います。ただ、後半は僕らがキックでエリアを確保できたのに、できなかったために、この様なヒヤヒヤとした試合になったと感じます。またペナルティも得点に繋がる致命傷なものがなかっただけで、チームで犯したペナルティはしっかり反省しなければならないです。しかし、この試合に向けての準備してきたこと徹底して、試合中も激しくディフェンスすること、エリアを確保することなど、みんなで共有できたことは良かったのではないかと思います。(次戦に向けて)勝利できるようにしっかり準備したいと思います。
中村匡汰選手
(試合を振り返って)取り切らなければならない場面で取り切らないとこのような試合になってしまいます。雨風確かに強かったのですが、セットプレーの精度が良くなかったのが反省です。優位に立った試合だったと思いますが、常に追い込まれた状態でした。(ロック、フランカーでの出場でした)個人的に、どのポジションでも力を発揮できるように準備はしていますので、試合中のポジション変更も問題なかったです。フランカーは自由度の高いポジションなので、しっかりボールに絡んでチームに貢献できていたと思いますし、光男さん(中尾)が交代でピッチから離れてロックになってもうまく切り替えることができました。(次の試合に向けて)おそらく次の試合は釜石さんになると思います。前回ホームで負けた相手ですので、しっかり準備して勝利したいです。
ギディオン・コイージェレンバーグ選手
メンバー全員がこの状況下で、チームのために身体を張り続け、その結果が悪天候の中でも素晴らしい勝利に結びついたと思います。(前節からフルタイム出場を2試合続けています)幸運なことに、無事に退院でき試合に出場するためのコンディションも整えることができています。またフィットネスも徐々に上がってきていますし、この試合に勝利するために個人でもチームも準備できていました。(常にボールに絡んでいましたね)はい、今日の試合コンディションからバックスが駆け回る天候ではなかったので、しっかりフォワードとして役目を果たしたまでです。(次の試合に向けて)次の試合も非常に楽しみですし、3試合連続して勝利を飾りたいです。



