はじめに
今回の”私とWATER GUSH”は、アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ出身の20歳、パパセーア・マテラウ選手(チーム内ではパパと呼ばれる)。19歳でアメリカを飛び出し、初めての一人暮らし、初めての日本、初めてのプロラグビー。そんな大きな挑戦をともに歩んできた彼に、ラグビーを始めたきっかけやクリタへの思い、そしてこれからの夢について語っていただきました。

兄の背中を追いかけて
パパ選手がラグビーと出会ったのは、12歳のころのことでした。
「兄がラグビーをしているのを見て、自分もやりたいと思ったんです。」
試合会場で兄たちのプレーを観ていたパパ少年。力強くボールを持って走る姿に心を動かされ、「自分もあんな選手になりたい」という気持ちが芽生えたといいます。
「ボールを持って力強く走る兄たちを見て、自分もハードなボールキャリアーになりたいと思いました」
その夢は、現在のポジションであるNo.8にそのまま体現されています。FWの中でも特にフィジカルとボール運びが求められるポジション。少年時代に描いた理想の選手像が、今のプレースタイルにつながっているのです。
19歳での大きな決断
クリタウォーターガッシュ昭島への加入は、パパ選手にとって人生を大きく動かす出来事でした。
「19歳のときに、プロのラグビー選手としてプレーするチャンスをくれたのがクリタでした。自分のラグビー人生にとって、とても大きなきっかけになったチームですし、今でも特別な思いを持っています」
アメリカから日本へ。文化も言語も生活スタイルも、何もかもが違う環境に飛び込んだのは、まだ19歳のときのこと。しかも、初めて家族と離れて一人でアパートに暮らすという体験でもありました。
「アメリカとはまったく違う文化でしたし、家族と離れて一人で生活するのも初めてでした。でもクリタに来てからは選手もスタッフもみんなすごく温かく接してくれて、とても居心地がよかったです」
慣れない土地で、慣れない暮らし。それでもパパ選手が前を向いて歩んでこられたのは、クリタというチームの雰囲気と、仲間たちの存在があったからに他なりません。
初めてのキャンプで「ここが自分の場所だ」と感じた瞬間
日本での生活に不安を感じながら迎えた最初のキャンプ。そこで転機が訪れます。
「初めてチームのみんなと顔を合わせたのは合宿のときでした。合流してすぐにみんなが温かく迎えてくれたのですぐに馴染むことができました。冗談を言い合ったり、お互いのことを知っていったりする中で、合宿が終わる頃には”ここが自分の居場所なんだ”と感じていました」
言葉の壁や文化の違いを超えて、笑いとともに自然と距離が縮まっていく。ラグビーという共通言語が、国籍や文化の差を埋めてくれる。そんな瞬間がそこにあったのかもしれません。

自分のプレースタイル
パパ選手に自身のプレースタイルを聞いてみると、迷いなく答えが返ってきました。
「自分の強みは、フィジカルを生かしたボールキャリーです。ボールを持って力強く前に出るプレーには自信があります。自分のキャリーでチームに勢いをつけて、少しでも前に進めること。それがクリタでの自分の役割だと思っています」
12歳のころに兄の力強いランニングに憧れ、そのまま自分のスタイルとして磨き上げてきたボールキャリー。チームに貢献する方法をしっかりと言語化できる20歳の姿に、頼もしさを感じます。FWの核として、クリタの攻撃に推進力をもたらす存在。それがパパセーア・マテラウ選手です。
今シーズンの目標と、その先の夢
2シーズン目を迎えるパパ選手には、明確な目標があります。
「今シーズンの目標は、入替戦まで進出し勝ち切ること。そして個人としては長く日本でラグビーを続けていたいと思っています」
チームとしての目標と達成。そして「長く日本でラグビーをしていたい」という言葉は、クリタへの愛着と、この地に根を張って戦い続けようとする強い意志の表れでもあります。
ファンのみなさんへ
クリタウォーターガッシュ昭島のファンへ向けて、パパ選手からメッセージをいただきました。
「遠いアウェーの試合にも応援に来てくれるファンの皆さん、本当にありがとうございます。会場で皆さんの姿を見ると、”今日も一緒に戦ってくれている”と感じますし、その応援が自分たちの大きな力になっています。皆さんの声援には、いつも本当に感謝しています」
遠いアウェイの地まで応援に来てくれるファンの存在。その姿が選手たちの背中を押しているという言葉は、飾り気のないパパ選手らしい率直な感謝の気持ちです。スタンドからの声援は、確かにピッチの上に届いています。

ラグビーとは何か
インタビューの最後に、「ラグビーとはあなたにとって何ですか?」と聞いてみると、パパ選手はこう答えてくれました。
「ラグビーは、自分にとって人生そのものです。ラグビーを通じて、努力することや仲間を大切にすることなど、人生において大切なことをたくさん学びました」
12歳でお兄さんたちの背中を見て夢を持ち、19歳でプロとして日本に渡り、20歳の今もチームのために体を張ってボールを運ぶ。その歩みそのものが、ラグビーを通じた「人生の教訓」の積み重ねなのかもしれません。
おわりに
ユタ州ソルトレイクシティの少年が、兄への憧れをきっかけにラグビーを始め、20歳でプロとして東京の昭島に立っている。パパセーア・マテラウ選手のストーリーは、ラグビーが持つ「人をつなぎ、人を動かす力」を教えてくれます。
今シーズン、クリタウォーターガッシュ昭島とともに入替戦の舞台を目指す彼の力強いボールキャリーを、ぜひスタジアムで体感してください。ホームでもアウェイでも、皆さんの声援が選手たちの大きな力になっています。














