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【インタビュー】G-005 北條耕太

入社一年目のシーズンは課題が浮き彫りにでたと感じている北條選手。セットプレーの精度を磨きながら、自分自身の強みを発揮させるために進化を続ける北條選手に、現在の思いとこれから始まる新リーグについてインタビューしました。

(取材日:2021.9.4)

『とにかく課題、課題、課題』

――2020-2021シーズンを振り返ってどう感じていますか?

個人的には、初めて社会人としてラグビー生活を送りました。仕事とラグビーの両立をスタートさせましたが、仕事はそんなにハードではありませんでした。その分、ラグビー競技に集中できる環境が整っていましたが、思うように活動できませんでした。課題が多く浮き彫りにでた一年目でした。

――課題が多く浮き彫りにでた一つを教えてください

スローイングです。昨シーズン、言われ続けていた部分です。

――その課題が浮き彫りなった試合はありましたか?

三月に戦った清水建設戦です。スタートから出場しましたが、相手のスクラムに終始押された感覚が残っています。個人的なスキルで劣ったと思っていませんが、圧倒した感じもありませんでした。この感覚が一年目の全てだと感じます。

――今シーズンがスタートして2ヶ月が経過しました。ここまでの状態を教えてください

フィットネス強化が順調だとおもいます。わかりやすい例えで言いますと、ブロンコテストで結果(記録更新)を出せていますし、少人数で集中して6月のスタートから取り組めたと思います。まだまだ全体の中で発言することは多くないですが、この期間は積極的に発言ができていたとおもいます。

――ピックアップメンバー主体のトレーニングは良かったのですね

はい、ピックアップメンバーに選ばれて良かったと思います。

――今シーズンの自身のターゲット(目標)はどこですか?

もちろんスローイングもありますが、スクラムも相手と互角に組める技術を身につけたいとおもいます。亮さん(山村コーチ)がいらっしゃいますので多くの指導を受けられています。また僕自身にフォーカスすると、タックル回数が強みだと思っているので、相手を圧倒するくらいのタックルを練習の段階から意識して取り組んでいきたいです。そして、インパクトのあるタックルを練習試合から続けてアピールしたいと思います。

――そのことがタックルの強みにつながるのですね

はい、自分からそのようなシチュエーションを作りに行かなければと思っています。ブレイクダウンには常に絡んでいくことで、タックル回数も多くなりますし、自分自身の強みが活かせるものだと感じています。

――これからのラグビー選手としてどのようなイメージで活動していきますか?

長く続けられる選手になりたいと思っています。怪我をしないことが一番大切です。そのためにも日頃からの身体づくりとケアに関しては、しっかり行っていきたいです。

『タックルに魂を込めたい』

――コロナ禍の状況で得られたものはありますか?

同期との時間は確実に増えました(笑)。思うように外出する機会がなかったので、大半は僕の部屋で過ごすことが多かったですね(笑)。その時間が結構好きなんです。

――失ったものはありますか?

考えたことないですね。コロナの影響でできなくなったなどありませんね。

――学べたことはありますか?

社会人としての責任感です。おそらくコロナ禍でなくても社会人としての行動は身についたと思いますが、感染予防策など社会人として、ラグビー選手として自分ごとのように感じています。

――フッカー(HO)はどんなポジションですか?

一般の方から見たら、フッカーのポジションはラインアウトでのスローイングとスクラムのイメージが強いと思います。うちのチームで言うと、前田(篤志)さんのプレーを見ていると誰もがわかりやすく理解できると思います。

――ラグビーの面白さを教えてください

タックルじゃないですか?ディフェンスに面白さを感じています。

――来年1月にスタートする新リーグ「League One」に参戦する気持ちを聞かせてください

昨シーズンまでのトップチャレンジリークと大きく印象が変わったと思います。確かに私たちはディビジョン3ですが、トップリーガーじゃなく、ワンリーガーですか?その差は大きいと思いますね。

――今から楽しみですか?

非常に楽しみです。手強い相手が多いですが僕の中ではサニックス(宗像サニックスブルース)さんと互角に勝負できるようにしたいです。

――昨シーズンと比べるとコーチ陣がガラリと変わりました

熱いコーチ陣ですね(笑)。僕にとっては大歓迎なコーチ陣です。トニーさん(オツコロ・カトニBKコーチ)は非常に厳しいですが、改めて自分自身のストイックさを引き出してくださったのかなと思っています。僕は厳しくされた方が燃える人間だと思います。でも、自ら追い込んでいかなければならないですね。

『クリタしかないプライドを求めて』

――北條選手が体現するクリタWAYを教えてください

クリタWAYは、「感謝」「規律」「プライド」の三つから構成されるラグビー部の考え方です。「感謝」は、会社の方々に感謝です。一番はエンジニアリング洗浄部門(北條選手の所属部署)の方に感謝しています。僕のことをちゃんと理解してくれているんです。「規律」は、どんな場面でもルールを守ることですね。普段の生活に置き換えると、当たり前ですが赤信号は絶対に渡りませんよ。短い横断歩道であっても周りが渡っていてもです。

――最後の「プライド」の部分はどうですか?

クリタにしかないものだと思います。それは仕事とラグビーの両立です。他のリーグワンに所属しているチームを見ていても、僕らのような環境でラグビーを取り組んでいるチームはないと思います。凄くしんどいと思います。だから同じ部署にいる諏訪(弘樹)さんはすごいと思います。クリタラグビー部全員が、ここに「プライド」を持たないといけないと思っています。

――ファンの存在について聞かせてください

実際に対面したことがなく、僕たちのチームを応援してくださるファンがいるのか解っていないです

――ちなみにラグビー部公式Instagramのフォロワーで一番多いエリアは「昭島市」です

そうなんですね、会社の人たちが大半と思っていたのですごく嬉しいです。

――ファンに向けてメッセージをお願いします

応援ありがとうございます。もし僕らラグビー部を見かけたときは声をかけてください。選手たちはすごく嬉しいと思います。もちろん僕もすごく嬉しいです。

――最後に北條選手にとってラグビーとは何ですか?

なんだろう、成長してきた全ての要因にラグビーがありました。僕を成長させてくれたのがラグビーです。中学生以降、何かを選ばなきゃいけない選択にいつもラグビーがありました。このお世話になったラグビーに恩返しする意味で、将来はラグビーの指導者になりたいですね。

――ありがとうございました

【インタビュー】G-004 アンドリュー・ディーガン

2020-2021シーズンの戦いで、アンドリュー・ディーガンのキックで何度もピンチを救ってくれたチームに欠かせない司令塔。昨シーズンの悔しい思いと今シーズンに向けた意気込みをインタビューしました。

(取材日:2021.9.1)

『ラグビーで繋がる』

――まず、昨シーズンを振り返ってください

私にとって1年目のシーズンで、後半の試合では良い勝利もありました。しかし勝てる試合を落としてしまっていました。しっかり振り返って、どうしたら勝利できたかを学びとして、今シーズンに生かせれば絶対去年より良い成績を残せると思います。

――昨シーズンの釜石戦の2連敗についてどう感じていますか?

初戦で対戦していることもあり、我々は相手の手の内は知っていたんです。だから我々もしっかり準備をしたのですが、試合で準備が実行できなかったですね。そこは残念で仕方ないです。

――オフシーズンはどのように過ごしましたか?

オーストラリアに帰れたあったことを感謝しています。家族に会えた喜びはありましたが、少し滞在したら早く日本に戻ってチームに合流したかったです。

――今シーズンの自身のターゲットを教えてください

自分の強み(キック)を継続して練習で積み重ね、さらに強靭なものにしていきたいと思います。例えば、私は左キックが得意なので、さらにその部分の精度を高めることです。

――スタンドオフ(SO、10番)というポジションの魅力を教えてください

タックルしなくていいところですかね(笑)。私が感じる10番は、チームをコントロールすることが1番の魅力だと思いますし、私もそう感じて司令塔になってプレーしています。やることすべて10番が決めますので。

――レベルズでプレーしていたメンバーがクリタにもいますね

そうですね、知っている外国人が同じチームいるのは心強いですしやりやすいですね。とはいえ、私はさまざまな国でラグビーを経験しています。世界的に「ラグビー」という言語でプレーヤーがつながっていると思います。ひとつの文化になっているので、新しいチームに入ったとしても初めてあった人たちもラグビーが初めてではない思いにさせてくれるんです。そこがラグビーの好きなところですね。

『毎日1%』

――クリタラグビーがさらに進化するためにどうすれば良いですか?

信じることです。毎週少しでも良くなっていくことを信じて積み重ねることです。学んで、トレーニングして、それぞれの役割を理解して実行していくこと、練習後はしっかり回復に努めて、、、そういった細かいところを毎日毎日1%でもよくしていこうと全員で取り組んでいけば、来年1月の公式戦にピークを迎えて、良い結果ができると信じています。あとはこの状況下で難しいですが、一体となれるオフ・ザ・フィールドの場が欲しいですね(笑)。

――今年で26歳になりました。これからラグビー選手として何を目指していきますか?

どの環境であっても私がラグビーを愛している限りラグビーをし続けると思います。一瞬でもラグビーが面白く無くなったときに、スパイクを置くと思っています。だから愛し続けてラグビーを通して選手としてはもちろん、人として成長し続けることを求めていきたいともいます。

――自身でどこまでラグビー選手を続けるかの期間を設けたりしていますか?

今後の試合のプレースタイルにもよります。もし自分がプレー上で行うタックルが少なくて済むのであれば、また自分にタックルされる回数が少ないのであれば、50歳まではやりたいですね(笑)。タックルの数によりますね(笑)。

――タックルって重要なのですね

はい、もちろんです(笑)。

――ネッドハニガン選手とは高校の同級生ですね、その当時の思い出などお聞かせください

たくさんありますね(笑)。一つに絞るのは難しいのですが、彼はお母さん子で、オーストラリアでは高校生はヘッドギアをする必要がないです。でもお母さんに「ヘッドギアをしなさい!」って言われ、彼はお母さんの手作りヘッドギアをつけて練習をしていました。コンタクトの練習のときに、私はヘッドギアなしで彼とぶつかった時に、彼は頭を切ってしまいました。頭を守らせたいお母さんの思いと反して頭に怪我をした、、、いやさせてしまったために、お母さんを泣かせてしまいました(笑)。

――石頭なのですね(笑)

はい、もちろんです。頭のサイズも大きいです。

『ラグビーができる身体に生まれてよかった』

――新リーグ元年はディビジョン3です。どこを目指していきますか?

1位になることが私たちのターゲットですが、最低でも2位になるべきです。どんなフォーマットで進むか具体的にわかりませんが、目指すところにブレはないと思います。

――最高で14試合戦うことになります

長いシーズンになりそうですね。

――自身のプレーのどこをファンの方に見てもらいたいですか?

キックです。通常のインプレー時のキックもありますが、コンバージョン(ペナルティ)キックですね。

――選手にとってファンの存在は心強いですか?

願わくば、シーズンインする前までには、このコロナ禍が落ち着き、皆さんが試合会場にきていただける状況になって欲しいです。昨シーズンの順位決定戦で戦った九州電力戦の最悪なコンディションにもかかわらず応援に駆けつけてくださったクリタファンには感謝しかないですね。

――あなたにとってラグビーとは?

ラグビーに出会って、さまざまな土地や場所でプレーしてきました。そこで新しい仲間や友人に結びつけてくれたのがラグビーです。そもそもラグビーという激しい競技ができる身体で生まれてこれかことに感謝ですね。

――ありがとうございました

【インタビュー】G-003 トム・イングリッシュ

2019年にクリタファミリーとなったトム・イングリッシュ選手。不動のアウトサイドセンターのポジションを昨シーズンはフル出場し、チームに欠かせない存在であり続けました。これからの自分とこれからのラグビーについてインタビューしました。

(取材日:2021.9.1)

『シーズンを通してベストな選手』

――まず、昨シーズンを振り返ってください

コロナ禍の状態がずっと続き、私も初めての経験で難しいシーズンでした。今シーズンに入るためには良いシーズンだったと思える貴重な経験になりました。望んだカタチではなかったですが、学びとして次に生かしていきたいと思います。

――昨シーズンの釜石戦2連敗についてどう感じていますか?

チームとしてしっかりと準備ができていなかったと思います。シーズン前のキープレーヤーの怪我などで、万全のチーム状態で戦うことができなかったことも要因です。2度も釜石さんにチャレンジする機会があったにもかかわらず負けてしまったのは残念で仕方ありまませんし。1度戦えば相手が見えているはずです。本来であれば1度負けたときに、しっかり準備はできたはずです。物凄くフラストレーションが溜まりました。

――今シーズン、チームに合流する前に隔離生活があったと聞きました

オーストラリアに帰国した途端にロックダウンになりました。帰らなければよかったと後悔しています(笑)。今となってみればこのコロナ禍の状況は生活の一部になっていますが、現状のオーストラリアと比べると、日本の方が多少自由ですね。

――今シーズンの自身のターゲットを教えてください

いつも考えていることですが、練習でも試合でも常にベストを出し切りたいと思っています。シーズンを通してベストな選手として活動していきたいです。

『貪欲に日本のこと、チームのことを知り尽くす』

――セブンズのオーストラリア代表やレベルズ(スーパーラグビー)で活躍をしていた当時、日本のラグビーに対してどんなイメージがありましたか?

日本のチームに対する印象は、フィットネスやスキルの高さ、ハードワークをしている印象です。セブンズのときに日本代表と対戦した際は、最後の最後まで気が抜けなかった試合だったと記憶しています。

――その思いは今でも変わりませんか?

もともとレベルズでは堀江(翔太、現埼玉パナソニックワイルドナイツ)、稲垣啓太(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)、松島(幸太朗、現ASMクレルモン)などといったレベルの高い日本人プレーヤーとプレーしていましたので、印象の違いはなかったです。クリタを見ますと、同じ日本人でも環境が大きく異なります。大前提に仕事がありますし、ラグビーを仕事と捉えていないことです。だからラグビーを楽しむことができています。クリタの選手と触れ合って、気づかされたことがあります。自分がなぜラグビーを始めたのか、自分自身の原点を思い起こさせてくれた大切なきっかけになりました。

――クリタの選手で注目する選手はいますか?

クリタは若い選手を中心にすごいエネルギーを持っています。特に匡汰(中村)と石井(洋介)は素晴らしいです。あと林田(拓朗)や中島(拓也)ですね、中島とプレーすることを私自身楽しんでいますよ。ものすごくタフな選手ですし、彼が私の内側をプレーしてくれると私も自信持ってプレーに集中できますね。

――クリタの良いところはどこですか?

まず、今シーズンからの新しいコーチングスタッフが私たちの成長を望んでくれていますし、選手たちがよくなりたいと心から思えているところが良いと思います。毎日の練習を重ね、振り返りそして学んでいく雰囲気が良いですね。

――クリタがさらに進化するためにはどうすれば良いですか?

外国人選手の観点で話をすると、日本人選手とさらに繋がりを深めていくことだと思っています。文化も当然違いますし、言葉も違います。私はこのチームのために来ているわけですから、貪欲に日本のことやチームのことを知り尽くすために勉強を惜しみなくする姿勢を続けていかなければならないです。ラグビーは、お互いを信頼し合う気持ちが重要だと思います。だからこそ、言葉の壁を無くすために私は努力をし続けて、フィールド上でも信頼も強くしていきたいです

――日本でプレーしているオーストラリア出身の選手とオーストラリアと日本のラグビーの違いについて話したりしますか?

クエイド・クーパー(花園近鉄ライナーズ、現オーストラリア代表)とはよくそのような話をしていますね。彼はものすごく日本を愛していて、近鉄はクリタと違い外国人選手が多く在籍しています。だから、彼はやりやすいのではないかと思います。彼が日本に来る条件として、プレーすることはもちろんのこと、彼の持っているものを伝えていくことも含まれていると思います。彼はプレー以外のところでも楽しんでいます。

――今年で30歳になりました。これからラグビー選手として何を目指していきますか?

私は競争心の強い人間で、戦うスピリットが好きなのです。なので1つは競争心を持ち続けること。もう1つは、ラグビーを楽しむことです。この2つをこれからも胸に秘めていきたいと思います。それと同時に自分たちの持っているものをこの日本に、このクリタに還元していきたいと思います。私はセンターとして、アンディーは10番として特化したスキルを持っていますので、日本人選手の成長に貢献したいですね。

――セカンドキャリアについて考えたりしていますか?

オンラインを通じて大学の学びをしています。ラグビー選手として終えた後の準備として資格を取得するなど、実は一昨シーズンから行っています。選手を終えた後もラグビーに関わっていきたい思いは強く持ち続けています。こういうプロチームのコーチや、私には子供がいるのでジュニアスクールのコーチなどしたいですね。

『ラグビーという贈り物』

――新リーグ元年はディビジョン3です。どこを目指していきますか?

もちろん1位です。ここは当然狙っていくべきです。ディビジョン3の良いところは、落ちる場所がないので上がっていくしかないカテゴリーです。他のチームを見ているわけではないのでなんとも言えませんが、去年の戦ってきたチームで構成されています。その時のイメージと現在の私たちのトレーニングを積み続けている状態を比べると、このトレーニングを継続し続けられれば十分1位になれると思いますし、なるべきだと思います。

――自身のプレーのどこを見てもらいたいですか?

ボールキャリーからのオフロードですね。そこを注目して欲しいですね。

――選手にとってファンの存在は心強いですか?

我々のチームを信じてくれる存在ですし、好きでいてくれて試合会場に足を運んでくれる大切で、かけがえのない大きな存在です。その多くのファンが試合会場に詰めかけてくれて、大きな歓声の中でプレーすること、当然プレッシャーもありますが、プロラグビー選手として求めていた最高のシチュエーションだと思います。その状況を作ってくださるファンの皆様には感謝しかありません。

――あなたにとってラグビーとは?

ラグビーに出会えたことが贈り物だと感じています。ラグビーを通じて色々な人と出会えて、色々な経験ができました。ラグビーをプレーしていたからこそ出会えた友人がいます。また、ラグビーをしていなければ日本に来ることもなかったし、このような人生を送れなかったはずです。大好きなことが仕事にできるのって私は恵まれていますね。

――ありがとうございました

【インタビュー】G-002 出渕賢史

今シーズンから旧トップリーグで活躍した山村亮スクラムコーチが就任して2ヶ月半が経過しました。昨年までのチームの課題でもあるセットプレーに修正をかけている中、プロップで身体を張り続けている出渕賢史選手に現在の心境をインタビューしました。

(取材日:2021.8.28)

『15分の1の仕事をすること』

――今シーズンがスタートして2ヶ月が経過しました。ここまで順調ですか?

 スタートする前に怪我をしてしまい、最初の入りはトレーナーの安斎さんにお世話になりました。出遅れてしまうか不安でしたが、何とか間に合い今は順調(?)にトレーニングできています。

――2020-2021シーズンを振り返ってどう感じていますか?

 正直、長く感じたシーズンでした。試合ができない分、練習に費やす時間が多くてモヤモヤしていました。そこで自身の怪我で最初の公式戦2試合に出場できなくて、不完全燃焼のシーズンでした。

――釜石戦の2連敗についてはどう感じていますか?

 負けて悔しい思いです。そもそも釜石戦というより、私たちは上位チームにも勝つことを目標にしていましたので、単純に自分たちの実力がなかったと感じています。

――公式戦の前半2試合はノンメンバーでした

 試合に出るために練習をしていたので出場できないことでチームに迷惑をかけたと思います。本来であれば初戦から試合に出場して、チームに貢献をしなきゃいけなかったんです。不甲斐ないですね。

――試合に出れないとき、気持ちの落ち込みはありましたか?

 いえ、試合に出場してチーム貢献することは言うまでもありませんが、ノンメンバーでもチームの勝利のために貢献できることはいくらでもあります。気持ちを切り替えて準備するメンバーをサポートしていました。やはりチームのために何ができるかだと思います。

――今シーズンの自身のターゲットは?

 来年スタートする新リーグでは、私たちは一番下(ディビジョン3)からになるわけです。そこで優勝することをターゲットにしたいですね。また、個人的には怪我が多いので、怪我をせずシーズン通して活動していくことをターゲットにしたいです。まずはこのコロナ禍の状況が落ち着き、多くのお客様がスタジアムに足を運んで、盛り上がってくれることを望んでいます。自分一人でやっているわけではないので、何とも言えませんね。

――プレーでこだわっていることはありますか?

 スクラムって言いたいですが、結果も出ていないので、何とも言えないです。でも常にこだわり続けていますし、今シーズン一番成長させたいところです。

――今シーズンは山村亮スクラムコーチが就任しました

 すごくありがたいです。昨年もスクラム練習に費やす時間も少なかったので、満足いくトレーニングができなかったのが本音です。今年はスタートからスクラムを強化していく方針を示してくれていますので、今は充実したトレーニングが行えています。

――フィールドで行う自身の仕事はスクラムですか?

 いえ、一言でいうと15分の1の仕事をすることです。

――それはどういうことですか?

 スクラムやセットプレーだけではなく、フィールドプレーにおけるスピードだったり、判断だったり、、、瞬時の判断を求められる競技なので、迷わず判断することと、迷ってもしっかりコンタクトしていく姿勢を無意識にできるようすることですね。

『見えないところで努力する』

――出渕選手は他のチームから移籍されたんですよね

 はい、豊田自動織機で5年プレーしてクリタに入部しました。

――クリタラグビーの魅力は何ですか?

 チームとして雰囲気の良さです。他のチームはないプレースタイルもあり、数少ない仕事とラグビーの両立を図って上位進出を狙っているチームなので魅力があります。

――移籍当初は環境に慣れるまで大変でしたか?

 最初はきつかったですよ、仕事とラグビーの両立が(笑)。全然慣れなくて体調に変化がでて苦しかったことを覚えています。

――今年で31歳となりました。気持ちに変化はありますか?

 多少、気持ちに余裕が出てきました。昔は「俺が!俺が!」というまえのめりの気持ちが大きかったです。年齢を重ねると考え方も取り組み方も変化していきますね。

――体力的にはどうですか?

 確かに若い頃と比べると疲労回復に時間を要しています。でも体力的に落ちているとかはあまり意識もしていませんし、落ちているとも思っていないです。

――これからも成長していける感覚があるんですね

 もちろんです。他の競技を見てもサッカーのカズさん(三浦知良選手)だったり、イチローさん(元メジャーリーガー)だったり、年齢を重ねても進化している良いお手本がいますから。ただ、この二人は年齢どうこうより、見えないところで積み重ねている努力の賜物だと思います。

――クリタの選手は30歳代で活躍している選手が少ないですね

 そうですね、今は私含めて3人です(本村旨崇と中尾光男)。他のチームには30代後半の選手がいますけど、ラグビーに専念できる環境があるからだと思っています。クリタは仕事とラグビーを常に両立させなければならないのです。当然仕事が忙しくなると練習に参加することも難しくなります。けれど、その環境が悪いわけでもないと思っています。そこは努力する範囲なのかなと。

――これからのラグビー選手として何を目指していきますか?

 もちろん長くプレーできるようにしたいです。それは、あくまでも理想であって、長く続ける難しさも感じています。限られた時間を自分なりに楽しく取り組みたいです。ラグビーを辞めるときにクリタでプレーできて良かったと思えるように、今の時間を後悔なく過ごしていきたいです。あとは自身で得た経験を若い世代に継承していくことです。

――コロナ禍1年以上続いていますが、この環境で何か得られましたか?

 思うように行動できない環境でありながらも、ラグビーを行える環境を整えてもらえていることの感謝する気持ちです。ラグビーができる環境あるってありがたいことです。再認識させられました。

『ラグビーがあるから今の自分がある』

――ラグビーの面白さを教えてください

 色々な選手がいますし、多様性が求められますし、身体の大きい小さい関係なくプレーできることですね。またボールを全員が繋いでトライを奪いにいく。会社と一緒ですよね。一人がしっかりと仕事をまっとうすることで組織が機能するわけなんです。1+1が2ではなく、3にも4にもなるのがラグビーの魅力だと思います。

――プロップの「3番」というポジションについて教えてください

 スクラムでは要であり、一列(スクラムの最前列)を任されているわけで、私のポジションが相手に負けるとスクラム全体がうまく機能しなくなってしまう重要なポジションだと思います。

――3番のポジションはいつから始めたのですか?

 小学校からプレーしています。でも高校時代はフランカーやNo.8の経験も少しあるんです。でも3番が一番長いです。バックスは足が遅かったので一度も経験はないです(笑)。

――応援をしてくださるファンはどんな存在ですか?

 ありがたい存在ですね。家族もそうですし、数あるチームの中でクリタを選んで応援してくださっているので嬉しいです。

――クリタラグビーのどこを見て欲しいですか?

 去年とは違うチームづくりをしています。なので、変化を見て欲しいです。あとスクラムを見て欲しいです。

――ファンへのメッセージをお願いします

 コロナ禍の状況で暗いニュースばかりだと思いますが、ラグビーの魅力を伝えて、少しでも明るいニュースを昭島から皆様に届けていきたいですね。今年一年間しっかり取り組んでいきます。

――最後にあなたにとってラグビーとはなんですか?

 自分自身を作ってくれたものです。最初は親の勧めで始めたラグビーですが、ラグビーあるから今の自分があるのだと思っています。さまざまな人との出会いを作ってくれたのもラグビーなんです。

――ありがとうございました